東京都内で普通の生活をするには時給1,642~1,772円が必要という最低生計費調査結果を18日、東京地評と東京春闘共闘会議が発表しました。
この調査は全労連・国民春闘共闘委員会の呼びかけで全国で取り組まれているもので、東京単独の調査は初めて。
最低賃金が今年10月まで単独最下位だった鹿児島でも1,590円程度が必要という結果が出ており、全国で1,500円以上に引き上げ、全国一律に改める必要性が浮き彫りになりました。
東京では3,238人分の調査データ(若年単身者411人)をもとに、新宿、世田谷、北の3区に住む25歳単身者を想定。生活必需品を積み上げたところ、他県よりも家賃負担が重く、税金込みで月額24万6,362~26万5,786円、年額295万6,344~318万9,432円が必要という試算結果になりました。
時給は通常の労働者の所定時間月150時間で算出しました。
調査を監修した中澤秀一静岡県立短大准教授は「東京の最賃は1,013円になったが、これでも普通の暮らしはできない」と指摘。
「東京と他県の最低生計費の格差は最賃ほど大きくない」と強調しました。
白滝誠東京地評副議長は「最賃の全国一律実現と1500円以上への引き上げを目指す運動に役立てたい」と強調。
井澤智事務局長は「最賃引き上げと中小企業支援を同時に求めていく」と述べました。
調査は、交通の便がよい新宿区、住環境がよいとされる世田谷区、生活費節約を重視した北区をモデルに試算しました。
他地域の調査で住居費が高かった、さいたま市でも5万2,500円だったのに対し、東京ではいちばん安い北区でも月5万7,292円かかりました。
新宿区は、通勤が徒歩や自転車で交通費が安くすむと想定しましたが、家賃は月7万6042円になりました。
地方出身者が多く、帰省のため年9万円かかるなど、費用を積み上げたところ、年額300万円前後、月25~26万円程度が必要だと分かりました。
東京の最低賃金は時給1,013円であり、実際には最低生計費を得られない若者が多数存在します。
調査を監修した中澤秀一静岡県立短大准教授は、「多くの若者が、食費を削る、趣味を我慢する、病院に行かないなど、それぞれの費目を削って生活していると考えられる。親元を離れられないという若者も地方には多い」と指摘。
最賃1,500円という労働組合の要求について、「高すぎるとはいえない。現実的な目標だといえる」と強調しました。
東京地評の井澤智事務局長は、家賃が高い新宿区では、若者に月1万円の家賃補助制度があるものの募集枠が30件に限られているとして、「政治に対して、家賃補助の拡充などを要求していくことも必要だ」と指摘しました。
(2019年12月19日付「しんぶん赤旗」より)