臨海部を大規模再開発する東京都の「東京ベイエリアビジョン」策定作業で、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)誘致を盛り込むのかどうかが焦点になっています。
東京都は同ビジョンを策定するため、昨年秋に大企業を加えた官民連携チームを設置。
今年10月に臨海副都心青海エリアに「東京の国際競争力強化と『稼ぐ東京』のためにMICE(国際会議場・展示場)、IR施設を整備し、国内外から人を集める」などの提案を発表しました。
官民チームのメンバーには、民間代表として三井不動産、三菱地所、住友不動産、森ビルの4社が参加。
森ビル、三井不動産(フジテレビなどと共同提案)は2011年にそれぞれ、東京都にMICE・IRを軸とする「国際戦略特区」を提案した企業です。
小池百合子知事は当初、臨海部に築地市場の跡地再開発を含むベイエリアビジョンを2019年内に策定する予定でしたが、来年の東京五輪大会後に先送りしています。
都の幹部は、「来年7月の知事選への再出馬を検討しているといわれる小池知事がカジノを打ち上げれば、都民の批判を浴びるので、ビジョン策定を知事選後に先送りしたのではないか」と話しています。
東京都は浪費型大型開発を推進するなかで、大手ゼネコンやデベロッパーとの癒着関係を深めてきました。
官民連携チームに加わる三井不動産、三菱地所、住友不動産、森ビルの4社には過去10年間に都局長級OB12人が天下り・在籍していることが、「しんぶん赤旗」の取材で判明しています。
4社は、カジノとばく解禁を国や自治体、国会カジノ議連(国際観光産業振興議連)に「提案」してきた日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の会員企業です。
石原慎太郎元知事が2011年に設置した官民連携組織「アジアヘッドクオーター特区(AHQ)地域協議会」のメンバーにも4社が加わり、翌2012年に策定したAHQビジョンにカジノリゾート構想を盛り込みました。
小池知事は、“情報公開は1丁目1番地”と公約したものの、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一の各知事と同様に、都民に隠れてカジノ構想をひそかに調査。
IR候補地を臨海副都心・青海地区に絞り込んでいた事実を「しんぶん赤旗」が6月3日付で報じました。
日本共産党都議団は都の調査報告書を情報開示請求で入手し、「住民福祉の増進が使命である自治体が、カジノに手を出すことは許されない」と批判、カジノ誘致を断念するよう知事に迫っています。
小池知事は自民党国会議員時代、カジノ議連のメンバーでしたが、都知事就任後は「IRのメリット、デメリットの検討を続けるスタンスは変わらない」などと述べています。
(2019年12月24日付「しんぶん赤旗」より)