東京都は25日、全都立病院の地方独立行政法人化を進める「新たな病院運営改革ビジョン」素案を公表しました。
独法化に対しては都民から「病床規模の縮小や不採算部門の削減につながる」という批判が上がっています。
素案は、災害や感染症、救急、周産期などの行政的医療や地域医療への貢献を「将来にわたり安定的かつ継続的に果たす」と記述。
都立病院には都民の税金が投入されていると述べた上で、「『賢い支出』で費用削減とともに、費用対効果を最大化しなくてはならない」としました。
都立直営では、人員確保や医療機器調達で「迅速かつ柔軟な対応が難しい」と主張。地方独立行政法人への移行準備を打ち出しました。
しかし、独法化された全国各地の公立病院で、分娩の休止や病院の廃止などが相次いでいることには触れていません。
素案は、都保健医療公社で運営している6病院も、都立8病院と一体化し、新たに設立する地方独立行政法人「東京都病院機構(仮称)」で運営するとしました。独法化の時期は明示していません。
都は来年2月7日まで、素案に対する都民意見を公募します。
「都立病院の充実を求める連絡会」の高橋美明事務局長は26日、素案を受け、独法化を中止するよう求める談話を発表しました。
談話は、都が「メリット、デメリットを検証する」としていたのに「(独法化の)デメリットの検証は一切行われていない。検証に値しない『独法化』ありきの一方的な内容だ」と批判。
素案にある「予算・人事の柔軟な運営」には独法化が不要である一方、独法化で「安定的な医療人材確保が難しくなり、医療サービスが低下する」と指摘しています。
行政的医療や地域医療の貢献などは、都立直営でこそ実現できると強調しています。
(2019年12月27日付「しんぶん赤旗」より)