国民健康保険料・税の2019年度改定をモデル世帯で計算したところ、今でも高すぎるのに、国保を運営する全1736市区町村(2つの広域連合含む)の4分の1を占める447自治体で値上げされたことが分かりました。
大都市圏に値上げが集中し、大阪府は9割、東京都は6割の自治体が負担増を強いています。
2020年度改定でも連続・大幅値上げへ圧力を強める安倍政権に対し、国民生活を守る運動がいっそう求められています。
調査は日本共産党がおこなったもので、「給与年収400万円の4人世帯(30代夫妻と子2人)」をモデルに集計しました。
値上げしたのは447自治体で、半数近い205自治体が2年以上の連続値上げをおこなっています。
国が2018年度から導入した「国保の都道府県化」で、市区町村に対して連続・大幅値上げの圧力をかけるなか、値上げした自治体数は導入前より増えています。
値上げした自治体数が多い都道府県は、大阪府がトップで90.7%。東京都が64.5%、広島県が52.2%、神奈川県が51.5%―と続きます。
大都市圏に集中しているため、多数の加入世帯に値上げが直撃したとみられます。
東京都の場合、千代田区を除く22区が10年連続の値上げを強行。国保料は年42万~44万円台にまで高騰しています。
「給与年収240万円の単身世帯」モデルで計算した場合も、大都市圏を中心に全体の4分の1の431自治体が値上げしました。
逆に値下げしたのは、先述の「年収400万円の4人世帯」では133自治体にとどまりました。1156自治体は据え置きです。
国の言いなりに連続・大幅値上げに突き進むのか、地方自治の本旨である「住民の福祉増進」へ引き下げをめざすのか―。
各市区町村が6月ごろまでに決める2020年度の国保料・税率の動向を注視する必要があります。
都道府県は順次、都道府県化に基づく2020年度の「標準保険料率」の仮計算や確定計算の結果を市区町村に示し始めています。
東京都の場合、1人あたりの国保料が平均4,600円増の年15万5,300円となる仮計算の結果を出しています。
各都道府県が市区町村に、公費繰り入れの削減・廃止と国保料の値上げを迫っているのです。
この“圧力”のもと、さいたま市の場合、2020年度の国保料・率を引き上げる条例改定案を2月議会に提案。
可決されれば4年連続の値上げです。市は2026年度まで毎年の値上げを狙っています。
国保加入者は、非正規雇用の労働者や退職後の高齢者が大半を占めます。
貧困化で国保料が払えずにいる人が多数いるのに、国が国庫負担金を減らし続けてきたため、国保料は高騰しています。
国は国民の生活苦を顧みず、逆に連続・大幅値上げの圧力を強めています。
市区町村の公費繰り入れを削減・廃止する取り組みを進めないと、「保険者努力支援制度」の交付金を減らすペナルティー措置を2020年度から導入すると決定。“公費削減ありき”の道を突き進んでいます。
「国保の都道府県化」でつくられたもので、市区町村が国保料・税の値上げを抑えたり、値下げするために独自に行っている公費繰り入れ(法定外繰り入れ)をやめることを前提に都道府県が計算。
市区町村に対して、公費繰り入れを削減・廃止し、標準保険料率に合わせた連続・大幅値上げを迫る仕組みです。ただ、あくまで「参考値」にすぎず、市区町村に従う義務はありません。
(2020年2月9日付「しんぶん赤旗」より)