巨大な腹見せる旅客機
都心を超低空で飛ぶ羽田空港の新飛行ルートを、客を乗せた旅客機が実際に飛ぶ実機飛行確認が、住民の合意がないまま1月30日(北風時)から始まっています。東京で活動する日本共産党の国会議員らは7日、騒音などの飛行状況を確認するため、南風時に上空を通過する大井町駅前(品川区)で現地調査を行いました。 (長沢宏幸)
北西方向に豆粒のように見えていた旅客機が、ごう音を響かせながら、みるみる大きくなります。大井町駅上空に差しかかると、機体の巨大な腹を見せて、ビルとビルの間を抜けるように飛び去りました。駅前を通りかかった人たちが、思わず目を細めて見上げます。大井町駅上空は、南風の時に羽田空港に着陸するルートにあたり、2月1日から実機による確認が始まりました。約300㍍上空を通過する駅周辺には、住宅が密集しています。
2分半に1機が
旅客機をじっと見ていた駅近くに住む女性(73)は「さすがに怖いですね」と顔をこわばらせました。「家にいるとうるさくて大変だわよ。だからみんな反対している」と、まゆをひそめました。
つえをついて通りかかった男性は「10階に住んでいるので、すぐ上を飛んでいる感じがする。今はまだいいが、これから暖かくなったときに騒音(の影響)がどうなるか心配だ」と話しました。
国土交通省によると、南風の時の新ルートの運用は午後3~7時で、約2分半に一機が通過する勘定です。騒音レベルは約77デシベル、電車の通過音程度としています。年間運用の約4割を想定しています。
実機飛行確認は、北風時(離陸)は1月30日~2月12日、南風時(着陸)は2月1日~3月11日の各7日間程度を予定しています。飛行ルートにあたる住民団体が、騒音や落下物などの危険があり、地元への事前説明もなく、理解も得ていないなどとして中止を求めています。
最大89デシベル
視察に参加したのは、笠井亮、宮本徹両衆院議員、山添拓参院議員、星見てい子都議、品川区議ら。騒音計で計測すると最大89デシベル、地下鉄の車内ほどの騒音があり、国交省の想定をはるかに上回りました。
国会から駆けつけた宮本衆院議員は「旅客機が上空を通過するたびに、見上げる通行人が多かったが、それだけ影響のある事態になっていると思う。落下物の危険も肌に感じた。国交省の調査でも、想定より大きな騒音が出ている箇所があることが確認された。今からでも、住民が認めていない新飛行ルートは中止すべきだ」と語りました。
東京都の小池百合子知事は新ルートを推進、歓迎しています。これに対し星見都議は「実際に運用が始まれば、毎日、住民の頭の上を飛ぶことになります。旅客機からの落下物をゼロにはできないのが現状で、事故があってからでは遅い。小池知事は、羽田空港の機能強化について、国際競争力の向上のためには極めて重要としていますが、都民の命と生活を第一に考える立場に立つべきです」と話しています。