東京マラソンの一般参加中止に関して「しんぶん赤旗」に掲載された記事を紹介します。
東京マラソン財団は17日、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を考慮し、3月1日に開催予定だった今年の大会の一般参加を全面的に中止すると発表しました。
2007年に始まった東京マラソンで初めてとなります。
一般参加の対象者は約3万8000人。東京五輪男子マラソン代表選考を兼ねるエリート部門は予定通り実施します。
同財団はこれまで、新型肺炎対策として参加者へのマスク配布や、給食物の個別包装化などを示していましたが、感染拡大に歯止めがかかっていない現状を踏まえ「確実な安全性確保は困難」(広報担当者)と判断しました。
対象者には来年3月7日の次回大会の参加資格を認めます。
ただし、来年も参加料の支払いは必要になり、規約に基づき今年の参加料は返金しません。
今年のフルマラソンの参加料は国内在住者が1万6,200円、海外在住者が1万8,200 円でした。
3月1日に行うのは男女のエリート部門と車いすのエリート部門のみで、合計約200人がエントリー。
同財団は「(感染症の)安全対策をして実施したい」としています。
東京マラソン3万8000人の一般参加者の出場を取りやめた判断は妥当なものです。
新型肺炎の拡大傾向や感染経路が不明な状況を考え合わせると、大会規模の縮小は感染拡大を抑える賢明な判断だったといえます。
問題は参加費用について、主催者が「規約により返金せず」としていることです。
主催財団は「返金せす」の理由をこう説明しています。
一つは「興行中止保険」に加入しているものの今回のケースは補償対象外であり、さらには準備に投じた費用も多いというものです。
もしそうであるならば、主催者は参加者に、その実情を説明する責任があります。
ランナーにしてみれば、走ることもできず、お金も返ってこないという「踏んだり蹴ったり」の事態はなかなか納得できるものではありません。
できればきちんと返すのが筋です。
実際、3月2日開催予定だった中国・重慶国際マラソン(3万人)は17日に全面中止を決め、参加者に対し返金する措置を取っています。
もし今回、返金できないのであれば、少なくとも経費がどのくらいかかっているのか。
どのくらいなら返金が可能か。とにかくその根拠を示すとともに、納得を得る努力が求められます。
走ることもできず、お金も戻せないとの最悪の事態を避けるため、今後は今回のようなケースでも補償対象となる保険の加入も考えるべきです。
多くのランナーは大会を楽しみに準備を重ねてきたはずです。
そのショックを受け止め、寄り添った対応を考えてほしい。それは主催者が果たすべき最低限の誠意であり、責任だと思います。
(2020年2月19日付「しんぶん赤旗」より)