【国保料】8割市区町村値上げの危険/安倍政権が圧力

6月ごろまでに市区町村が決める2020年度の国民健康保険料・税について、国の圧力によって少なくとも26都府県内の約8割を占める市区町村で値上げの危険が迫っていることが分かりました。

安倍政権が都道府県に計算させた「標準保険料率」を4人家族のモデル世帯にあてはめた試算の結果です。

東京都では単純平均で年5万3千円増となるなど、いまでも高すぎる国保料の大幅値上げとなります。

計算結果では、26都府県872市区町村の77.3%にあたる674市区町村で値上げとなりました。

値上げとなる市区町村数の割合が最も多い都府県は、95.2%の東京都。
次に群馬、福井、和歌山、愛知の4県と大阪府が続き、いずれも9割を超えています。

25位の神奈川県でも、ほぼ半数の48.5%の市町村が値上げです。

国保の加入世帯主は非正規雇用の労働者や年金生活の高齢者が大半を占め、1世帯あたり平均所得は年136万円(2017年度)にすぎません。
さらなる値上げは住民の健康と暮らしを破壊します。

標準保険料率 高騰進む/国保料 1カ月半の収入吹き飛ぶ

2020年度の国保料改定をめぐっては、各都道府県が1月から順次、標準保険料率の確定版を市区町村に示し始めています。

24日までに25都府県の標準保険料率が分かったため、日本共産党は、市区町村が標準保険料率どおりに国保料を改定した場合の影響額を調査。
「給与年収400万円の4人世帯(片働きの30代夫妻と子2人、土地・家屋無し)」のモデルで計算しました。

10万円超値上げ

値上げとなる市区町村数の割合が最多の東京都をみると、年額で府中市が14万6千円増、清瀬市が13万5千円増、三鷹市が12万4千円増などと10万円超の値上げが目立ちます。

新宿区は8万1千円増の51万1千円に、北区は7万6千円増の50万6千円になり、1カ月半の収入が吹き飛ぶ“激痛”を強いることになります。

2019年度に全国最多の90.7%の市町村が値上げした大阪府の場合、2020年度も90.7%が値上げとなり、府内全43市町村では平均2万3千円増という結果です。
値上げによって年42万7千~48万3千円に高騰してしまいます。

日本共産党は昨年3月、2019年度の「標準保険料率」に基づいた独自の試算で、全国8割の自治体で値上げの危険が迫っていることを明らかにしました。

2020年度も、標準保険料率が未公表の県も残されていますが、現時点で2019年度の調査結果と同じ傾向を示しています。
「給与年収240万円の単身世帯」のモデルで計算しても、2019年度調査と同程度の69.4%の市区町村で値上げとなります。

一方、値上げの圧力がかかるなかでも、2019年度は「年収400万円の4人家族」の場合133自治体が値下げしました。

ペナルティーも

安倍政権は4月から、独自の公費繰り入れで国保料軽減を続ける市区町村に対し、保険者努力支援制度の交付金を減らすペナルティー措置を導入し、値上げへの圧力を強めます。

北九州市では、住民の切実な要求運動や日本共産党の議会論戦が2018・2019年度の2年連続の値下げにつながりました。
しかし、同市は2020年度の国保料を引き上げる方針です。

日本共産党の藤沢加代市議は「多くの市民が『高すぎて払えない』と苦しんでいます。国保料は負担能力を超えており、値下げこそが必要です。市政とともに国政を変え、根本的な解決へ国庫負担増を実現しなくてはいけません」と語ります。

2019年度は4月の統一地方選挙が値上げの歯止めになった面もあり、2020年度はこのままでは全国に値上げが広がる恐れがあります。
住民生活を守る運動が求められています。

標準保険料率

2018年度から、国保財政の運営責任を市町村から都道府県に移す「国保の都道府県化」で導入。
市区町村が国保料軽減のため独自に行っている公費繰り入れ(法定外繰り入れ)を除いて都道府県に計算させたものです。

市区町村に公費繰り入れの削減・廃止と、標準保険料率に合わせた国保料の連続・大幅値上げを迫る仕組みです。
市区町村にとっては「参考値」にすぎず、従う義務はありません。

(2020年2月25日付「しんぶん赤旗」より)

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