4月から債権の請求期間(消滅時効)が原則5年になるのに、労働者が未払い賃金を請求できる期間は3年にとどめる―。
労働者の権利を不当に抑制する労働基準法改定案が11日の衆院厚生労働委員会で、わずか半日の審議で可決されました。
日本共産党は労働者の保護を目的とする労基法に反するとして反対し、宮本徹議員が厳しく追及しました。
同法案は、4月施行の改正民法で消滅時効が原則5年となるのに合わせ、未払い賃金の消滅時効(現行2年)も「5年」としながら、経過措置として「当分の間」は3年にとどめるもの。
施行5年後に「5年」にするか「検討」するとしますが、担保はありません。
宮本議員は、未払い残業代の請求事例が近年増える一方で、違法行為が長年続いていても、支払額は現行の消滅時効の2年分にとどまる「やったもの勝ち」が横行していると指摘。
「在職中は声を上げられなかった労働者が、退職・転職を機に請求する例が少なくない」と強調し、2年以上未払いの実態を把握しているかただしました。
厚労省の坂口卓労働基準局長は、労働基準監督署の監督指導で100万円以上の未払い残業代を支払った企業が2016年度と比べ、17、18年度で400~500件増えていることを明らかにしました。
他方で、未払いが2年以上にわたる事例は「集計していない」と述べました。
宮本議員は「実態も分からないまま法案を出したのか」と批判。
加藤勝信厚労相は「実態把握は大事だ。どういうやり方があるか検討したい」と述べました。
坂口氏は、「当分の間」3年にとどめる理由を「消滅時効が長期に及ぶことで賃金債権額が確定せず、企業が紛争の発生に備える必要性が生じる」などと説明。
宮本議員は「企業が賃金を適正に支払っていれば紛争は生じない。企業側の言い分だ」と批判しました。
(2020年3月13日付「しんぶん赤旗」より)