都立病院を独立行政法人(独法)にすれば予算単年度主義のしばりがなくなり、財務や人材の確保がスピーディーに対応できると推進側は主張しています。
ところが、すでに独法化された健康長寿医療センター(板橋区)の毎年の「予算編成方針」で、独法化されても単年度主義は消滅していないことが明らかになりました。
都全体の予算システムからは切り離されますが、都の予算執行か息九全に独立することはなく、単年度主義の予算執行が行われているのです。
その予算編成方針には、人件費を医業収益の2分の1以内に抑えることが明記されています。
独法化されれば医師・看護師を柔軟に雇えるかのごとくいわれますが、人件費を抑えることで経営効率、つまり黒字化をめざせといっているわけで、それが独法化の狙いであり、住民の立場から見れば医療サービスの低下につながるデメリットです。
全国の独法病院と直営の公立病院の経営について太田正先生(作新学院大学名誉教授)が分析したデータがあります。
一般会計からの繰入金や国庫補助を除き、純粋な病院経営の収入と支出を比較したものです。収支が黒字だった全国ベスト10の病院のうち、9つは公立病院で、独法化された病院は1つだけでした。
なぜそういう結果になったのか。黒字の公立病院では、医師・看護師・検査技師など医療スタッフを減らすのでなく充実・増やすことで、患者から見て「あそこの病院は医療も対応もよくていい病院だね」とたくさん集まってくれる。それによって病院の黒字化につながっていることが分かりました。
都立病院もそういう方向をめざし、都立病院は都立の役割、開業医は開業医の役割をはたし、連携して東京都民のいのち、健康の問題を解決することが可能であり、大切ではないでしょうか。
「都立病院の充実を求める連絡会」は都議会各会派・都議への訴えを強めていきます。各党の縛りはあっても「独法化反対です」と表明される議員もおられます。本音で話していきたいですね。
都立病院を直営のまま残す運動と各地の440の公立・公的病院の再編統合を撤回する運動を一体にした首都圏集会も計画し、世論の力で撤回へ追い込みたいです。
小池百合子知事は予算特別委員会で白石都議の質問にほとんど答弁に立ちませんでした。
さらに予算も決定していないのに、2月3日に独法化準備の外部委託の入札参加申請がやられ、入札が3月18日に強行しました。
そして都は、独法化を進める、予算と「新たな病院運営改革ビジョン」を3月中に決定するというのです。
こんな民主主義を否定した乱暴なやり方は絶対に認められません。
都知事選(6月18日告示、7月5日投票)に向けて、独法化中止・都立病院の充実と、公社病院の都立病院にもどす新たな署名を都民に広く訴えていく取り組みを進めていきたいと決意しています。
(2020年3月28日付「しんぶん赤旗」より)