都が休業要請を出して1週間/物流・町工場…苦悩

新型コロナウイルス感染拡大防止として東京都が休業要請を出して1週間がたちました。

専門家は人出の8割減を求めていますが、都内主要駅周辺では1週間前に比べ4~6割減にとどまっています。物流や製造業の実態をみると・・・。

「倉庫勤務はテレワークできない。出荷を止めるわけにいかないし・・・」。

そう語るのは、都内で衣料品や生活雑貨を卸売りする企業に勤める小林美登里さん(49)=仮名=。
「前注文のキャンセルなどの連絡も、相次いでいるのだけど・・・」と肩を落とします。

主要な取引先の店舗の多くが、ショッピングモールに入っています。都の休業要請でこれら店舗はシャッターを下ろしています。

出荷業務には、1日に10人程度の派遣社員が携わります。

「派遣社員の契約をすべて切ると聞いている。派遣の人たちは不安そうです。出荷にかかわったことのない正社員が本社からくるとなれば、一から仕事を教えなければならず負担が重くなる」と嘆きます。

老舗の町工場が残る東京都墨田区で、金属切削(せっさく)加工業を営む星谷英男さん(53)。
ラジコンカーのシャフト(回転軸)など、さまざまな部品を下請けで製造しています。

「家の中で遊べるおとな向けの趣味に関するものづくりが多く、外出自粛になっても需要がそれなりにあります」

製造業は、在宅勤務ができない業種の一つです。「発注を受けたのを一回断ってしまうと、よその会社に流れて次から受けられなくなる」

休めぬ町工場 納期遅らせるわけには・・・

金属加工用の機械を操作する星谷英男さん=18日、東京都墨田区(「しんぶん赤旗」提供)

「発注元のお客さんからは常日頃、一つの部品でも納品が遅れれば、上の組み立てラインが止まってしまうと言われている」と星谷英男さん。工場では、星谷さんを含め4人の社員が平日や隔週の土曜、作業に当たっています。

今のところ発注が落ち込んでいないため、納期までに製品を完成させなければならず、簡単には休業できないと語ります。

星谷さんは、これから自社の売り上げが急激に落ち込むとなれば、銀行融資を受けられたとしても半年持ちこたえられるかどうかだ、と不安を隠せません。
「そうなった場合、国が十分な補償をしてくれなければ、事業を継続することも、従業員に給与を保障することもできない」と語りました。

都内の物流関係の企業で働く佐藤沙織さん(44)=仮名=は「部署内で交代勤務をしています。
週に2、3日しか出勤していませんが、テレワークの整備ができていません。在宅時は基本、休みです」と話します。

緊急事態宣言の後、会社は「特別休暇5日」を出してくれることに。けれどその他は、夏休み3日分を前倒し、あとは有給休暇を使うよう指示されています。
休業などに伴い企業が労働者に有休取得を強いることは違法行為です。

「宣言の間は特別休暇にしてほしいのが本音です。長時間電車通勤もしたくないです」

(2020年4月19日付「しんぶん赤旗」より)

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