日本共産党の小池晃書記局長は19日のNHK「日曜討論」で、新型コロナ感染拡大への対応をめぐり各党幹事長(代行)らと討論をしました。
緊急事態宣言の対象地域が全国に広げられたことを受けて、小池氏は、すべての個人と事業者への自粛に伴う損失補償や医療に対する財政支援などを全速力で大規模に行うよう主張しました。
小池氏は、感染拡大の状況について「きわめて深刻だ」と述べ、「補償なき緊急事態宣言では命は守れないと主張してきた。宣言を全国規模に広げるとなると、ますます大規模な補償が必要になる」として、各都道府県で財政力や医療体制に「格差」がある中で「国の財政支援の責任がますます求められてくる」と強調しました。
収入が急減した世帯に30万円を支給する案から国民1人当たり10万円の現金給付への政府の方針転換について、小池氏は「自民党と公明党が閣議決定したことを世論の力でひっくり返したのは画期的だ」と述べ、給付金を国民に早急に届けるよう求めました。
また、政府の中小企業やフリーランスへの「持続化給付金」は5割以上売り上げが落ちないと給付されないと指摘し、「(10万円の給付で)線引きをやめたのだから、自粛した中小企業・フリーランスへの線引きもやめるべきだ」と主張。
「みんなが苦しんでいるときに、分断を持ち込むのは最悪だ」と強調しました。
小池氏は、休業補償について、国の支援がないために宣言の全国への拡大に伴って都府県によって格差が生じていると指摘。
「政府は1兆円の『地方創生臨時交付金』を自治体の判断で使ってよいというが、国が休業を要請したのだから、その補償は国が統一基準を示して財源を手当てするのが筋だ。全国知事会が求めるように、国が責任を持つべきだ」と強調しました。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は「(休業)補償は感染対策だ」と発言。国民民主党の平野博文幹事長は「要請する以上は支援はセットだ」と述べました。
医療現場の課題について、小池氏は「『医療崩壊になるから』とPCR検査を抑えてきたことで、逆に医療崩壊の危機が生まれている。検査数を大幅に増やし、感染の広がりをつかまなければいけない」と強調。
かかりつけ医に電話で相談し、医師が必要と判断すればPCR検査センターへ紹介して検査をし、陽性の場合は治療するという見直しの方向を紹介し、「大量の検査ができるし、保健所の負担軽減になるし、医療従事者を守り、院内感染のリスクを防げる」として早急に転換すべきだと訴えました。
さらに、3月3日の参院予算委員会で保健所を介さないPCR検査を求めたにもかかわらず、厚労省が通達を出したのは4月15日だったと指摘。「野党のいうことも聞いて、お互いに知恵を出して前に進めよう」と求めました。
小池氏は、自民党の稲田朋美幹事長代行が「財政支援をやっている」と発言したことに対して「PCR検査や病床確保をふくめて、補正予算案の医療支援はわずか1500億円。東京・杉並区は、コロナ患者を受け入れると1病院あたり月1億から3億円の損失が出ると試算した。1500億では“焼け石に水”だ。医療機関支援、PCR検査の拡大、マスクの緊急供給など、数兆円規模であらゆる手だてを尽くすことを求める」と述べました。
いま必要な対策を問われた小池氏は「一律10万円の給付とは別に、外出自粛などによって直接・間接に損失を受けている人の営業と生活が持ちこたえられる支援が必要だが、(政府の対策には)それがない」と指摘。
休業を余儀なくされた労働者や自営業者、フリーランスの賃金の8割の補償、中小小規模事業所の家賃や光熱費など固定費の補償が必要であり、「1回こっきりではなく、収束するまで持続的にやると示すことが必要だ。これは景気対策ではなく、感染拡大を防止するために必要だ」と主張しました。
さらに、「従来通りのやり方で申請して審査して書類不備なら突っ返す。こんなことをやっているから給付金も助成金も遅れに遅れている。緊急時であり、平時のやり方は全面的に見直すべきだ」と求めました。
最後に、政治が果たす責任を問われた小池氏は「新型コロナの拡大を阻止し、暮らしと営業を守る、そのために全力をあげることだ」と発言。党が提案してきた経済対策とともに「消費税5%への減税もやる必要がある」と主張しました。
そのうえで、コロナ危機を通じて日本の医療体制の脆弱さなどが明らかになったと指摘。集中治療室や医師の数がイタリアの半分しかないと述べ、「こうしたことを本気で変えなきゃいけない」と語りました。
そして「何でも効率優先でやってきたこの国のあり方を今度こそ問い直すときだと思う。収束に全力あげ、コロナ後にはより良い日本と世界をつくるというのが、政治の一番の責任だ」と訴えました。
(2020年4月20日付「しんぶん赤旗」より)