東京都の小池百合子知事がすべての都立病院・公社病院を2022年までに地方独立行政法人にすると計画している問題で、「都立病院の充実を求める連絡会」は、独法化の中止を求めてインターネット署名サイト「change.org」を使った緊急Web署名に取り組んでいます。
新型コロナウイルスの影響で街頭での署名活動が難しくなったことを受け、4月下旬に同サイトで署名の受け付けを開始。
5月中旬時点で、3,900人を超える署名が集まっています。都立の墨東、駒込、公社の荏原、豊島の4病院は、都内の厚生労働省感染症指定医療機関の指定病床数の68%を占めています。
署名では、東京都で新型コロナウイルスの感染患者を真っ先に受け入れたのが都立病院と公社病院だと指摘。
独法化すれば効率性、経済性が優先され、感染症への対応をはじめ、難病、災害医療といった行政的医療(不採算医療)を担うことができなくなってしまうと強調しています。
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署名に対して、特にコロナ問題で危機感を持った人たちから賛同の声が多く寄せられています。
「都立病院だからコロナに対してもすぐに対応できたと思う。今後新たな感染症が出たときに、独法化した病院で同じように対処できるのか」
「都立病院の奮闘があってこそ、医療従事者として現場でコロナとのたたかいができる」
「安心して医療を受けるためには、医療スタッフの労働条件の改善や公費を投入して、医療・福祉サービスを充実させることが必要」
「全国の公立・公的病院減らしと根は同じ」
など切実な訴えです。
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連絡会事務局の男性は「緊急時の感染症への対応などは都立病院でないとできません。公立の病院だからこそ、感染症対策のための特別な病室を用意しておくことなどができます。不採算な医療でも対応できる都立病院の充実が、今こそ必要です。都立病院は、社会インフラであり、公費を投じて維持すべきものです」と話しています。
同会では今後も賛同者を募り、広く署名を集めていく方針です。
(2020年5月21日付「しんぶん赤旗」より)