羽田空港を発着する航空機が東京都心などの上空を低空で飛行する新ルートを国土交通省が認めたのは違法などとして、東京都や川崎市の住民計29人が12日、東京地裁に取り消しを求める行政訴訟を起こしました。原告によると、新ルートをめぐる集団訴訟は初。
訴状によると、羽田空港を離着陸する際の飛行ルートは3月29日に変更され、旅客機などが都心の住宅密集地や川崎市の石油コンビナート付近の上空を低空で飛行できるようになりました。
住民らは騒音に加え、落下物の恐れや墜落事故の危険性もあるとして、飛行を認めた国交省の処分を取り消すよう求めています。
新ルートは、羽田空港の着陸直前や離陸直後に東京都心をはじめとする内陸上空を比較的低い高度で通過するのが特徴。
従来は、東京湾上空を飛行するルートが主でしたが、発着回数を増やすために品川、港、目黒、渋谷、新宿などの東京各区のほか、埼玉県や川崎市上空も経路に設定されました。
提訴後に記者会見した渋谷区の男性(73)は「(国交省は)質問にろくな返事もできない。やむにやまれず訴訟に踏み切った」と話しました。
(2020年6月14日付「しんぶん赤旗」より)