代表質問に立った日本共産党の里吉ゆみ都議は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除後、都内の感染者数が増えはじめていることを示し、感染拡大の第2波に備え、PCR検査体制の抜本的拡充と医療体制の強化を求めました。
里吉都議は新型コロナウイルスの感染が拡大する中で開かれた4月の臨時都議会で、PCR検査数が極めて少ないのに、小池知事は「必要な検査が実施されている」とのべたことを批判。医師が必要と判断しても検査が受けられない都民が続出し、死後の検査で感染が判明する深刻な事例もあるとして、知事の認識を改めてただしました。小池知事はしかし、「医師が必要と判断された場合には、必要な検査は実施されている」と強弁し、「知事には反省はないのか」との再質問には、答弁に立ちませんでした。
里吉都議はPCR検査の重要性について、「感染状況を正確に把握し、安全に社会経済活動を再開させる最大のカギだ」とし、区部に比べPCR検査センターの設置が遅れている多摩地域での対策強化を訴えました。また、経営難に陥っている病院への助成や家賃助成を提起。「重症者用ベッドは都の目標の1・4倍は必要」とする日本医師会専門チームの指摘を紹介し、目標の再検討を求めました。
小池知事は検査体制の拡充について「第2波に備え、1日1万件を目指し、新型コロナ外来を100カ所、PCR検査センターを38カ所設置していく」と答えました。
独法化は逆噴射
里吉都議はさらに「コロナ危機は東京の医療体制と公衆衛生の弱さを浮き彫りにし、都政のあり方を根本転換することを求めている」と強調。日本医師会の横倉義武会長の「感染症が流行した時に対応できる病床を維持しておくべき」「競争や効率重視の新自由主義の影響が医療機関にも及んでいる」との発言も紹介。その上で、都立・公社病院に「新自由主義」を持ち込む地方独立行政法人化は「今やってはならない逆噴射だ」と批判。独法化の中止を強く迫りました。
小池知事は見直しには触れず、堤雅史病院経営本部長は「移行準備も着実に進め」るとのべました。
里吉都議はまた▽統廃合された保健所の増設を含む充実▽不要不急の大型開発優先を改め、都財政を都民の命・暮らし優先に─と提起。カジノ誘致検討や首都圏の超低空を飛ぶ羽田空港の新飛行ルートの撤回を求めました。
事業者の支援
里吉都議は、中小・個人事業者への感染拡大防止協力金(最大200万円)について、支払いが申請件数の2割にとどまり、対象も事業者の3分の1だと指摘。速やかに全ての事業者に支給するよう迫りました。
また、かねてから申し入れなどで求めていた暮らしや営業の補償強化、家賃やリース代などの固定費への財政支援を改めて提起。小池知事は中小業者の家賃助成について、「大都市の家賃水準も踏まえながら、国の施策と連携した効果的な支援策を検討していく」と表明しました。
都立大の在籍延長 授業料が免除に
里吉都議は若手研究者らでつくる「図書館休館対策プロジェクト」の調査で、図書館の休館などにより卒業・学位論文の提出学年の7割が「提出時期に間に合わない」と回答したことを紹介。「都立大学では、こうした学生・院生が卒業できるよう在籍延長を行い、学費を免除すべきだ」と求めました。
遠藤雅彦総務局長は答弁で、9月卒業・修了予定者のうち、新型コロナの影響で研究活動が困難で、論文審査の終了などが10 月以降となる場合について、「今年度後期の在学にかかわる授業料を免除する特別の措置」を行うことを明らかにしました。
新型コロナの影響で「親の収入が激減した」「 アルバイトがなくなり暮らしていけない」「5人に1人が退学を検討している」(「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査)など、大学生などの生活が深刻な事態となっています。
里吉都議は「問題の本質は学費が高すぎること。一律半額を求める動きが急速に広がっている」とのべ、都立大学などの学費半額・免除を求めました。
講師を追加配置へ
里吉都議は学校再開を受け、人間同士のつながりや学習機会の保障、心のケアなどきめ細かな対応を提案。できるだけ登校し、3密を避けながら学ぶには「少人数学級こそ必要」だと知事の認識を質しました。また、教員を3100人加配する国の補正予算も活用して、教員の増員を求めました。
藤田裕司教育長は「3つの密」を回避するため身体的距離を確保した教育活動を行う必要があるとし、国の制度を活用して時間講師を追加で配置すると答えました。