【都知事選7月5日投開票】小池都知事 コロナ対策 科学より政治的思惑

コロナ危機の下で都民の命と暮らしをどう守るのかが問われる東京都知事選が18日に告示(7月5日投開票)されます。
コロナ対応でのパフォーマンスが目立つ小池百合子知事ですが、よく見ると科学に基づく対応でなく、政治的思惑が見え隠れします。

表明前日 アラート解除

小池知事は知事選出馬表明の前日の11日に、コロナ感染警戒を呼びかける「東京アラート」を解除しました。

アラートは、

(1)1日当たりの新規感染者が20人以上(1週間平均)
(2)感染者のうち感染経路不明者が50%以上(同)
(3)週単位の感染増加率が1倍以上

の場合に発令されるもの。都は2日にアラートを発令し、レインボーブリッジを赤くライトアップしました。

小池知事は11日の会見で「数字は落ち着いていて、東京アラートの役割は果たせたのかなと思う」と述べました。

しかし11日以降は12日25人、13日24人、14日47人、15日48人、16日27人と、5日間で171人、1日平均で34.2人とアラート基準超えが続いています。
また指標の、(3)の週単位の感染増加率でも基準を超えています。

東京新聞13日付の社説も「警戒を呼び掛ける『東京アラート』を解除したのは、出馬表明前日の今月11日。警戒を強化したり緩めたりする手綱が恣意(しい)的ではないか、との疑念が残る」と指摘しています。

小池知事はこの事態にどう対応するのか。都は15日にアラート基準見直しに向けたワーキングチームを発足させました。
基準自体を緩和させるものだという指摘が出ています。

五輪を優先 遅れた初動

東京都内で初めてコロナ感染者が出た(中国武漢からの旅行者)のは1月24日、その日の記者会見で2020年度の予算について、小池知事は五輪・パラリンピック後を意識して、「大会後の東京がいかに輝き続けられるか」と強調しました。

感染が広がる中で2月17日の東京マラソンは、東京五輪代表選考を兼ねる部分だけで実施することになりました。
都の幹部は、「選考があるのだから走ってもらわないと」と述べたといいます。

2月24日には国の専門家会議が「これから1~2週間が急速な感染拡大か収束に向かうか瀬戸際」という見解を示します。

そして、3月24日に安倍晋三首相と国際オリンピック委員会のバッハ会長が東京五輪・パラリンピックの延期で合意します。

ここから都の対応が急展開。翌25日、小池知事はようやく「感染爆発の重大局面だ」と表明。
「ロックダウン」発言や、26日には首都圏一円の移動自粛を打ち出し、都民を困惑させました。

毎日新聞13日付の社説も「感染防止の強いメッセージを出し始めたのは、東京オリンピックの延期が固まってからだ。初動の遅れには疑問が残る」と指摘しています。

この経過を見ると、五輪対応に縛られ、初動段階での遅れは否めません。

PCR検査微々 無反省 一方で病院独法化 推進

日本のPCR検査の数は海外に比べて桁違いに少ないのが実態です。

小池知事はPCR検査を絞った安倍政権の方針に忠実に従ってきました。
5月29日には政府の専門家会議が「検査が必要な人に対してPCR検査が迅速に行えなかった」と反省しているにもかかわらず、小池知事に反省の態度はありません。

都はコロナ感染からの出口戦略の中で1日1万件の目標を掲げていますが、現在の実績は1日約1200件にすぎません。
6月の都議会で日本共産党がこの点を追及すると、小池知事は「必要な検査は行われている」と答弁し、遅れているという認識も示しませんでした。

共産党の再質問に対して、小池知事は答弁にも立ちませんでした。

コロナ危機の下、都内の感染症指定医療機関の指定病床数の7割を占め、その対応の主力となっているのが都立・公社病院です。

ところが小池知事はその都立・公社病院を、都の財政支出削減のために独立行政法人化する方針を、コロナ危機の真っただ中の3月31日に決めました。

独立行政法人化した先行例である大阪府立病院機構では、自民党府政、大阪維新の会の府政の下、患者負担が約2倍に値上げされた部門もあります。

6月の都議会で日本共産党は、日本医師会の横倉義武会長の「効率重視の新自由主義の影響が医療機関にも及んでいる」との発言を引いて小池知事の認識をただしましたが、知事は方針を変えようとしていません。

このような小池知事にコロナ第2波、3波の対応を任せることはできません。

保健所・医療体制の充実こそ 宇都宮さんずばり

宇都宮けんじ

宇都宮けんじさん(WEB版「しんぶん赤旗」より

宇都宮けんじ都知事候補(日弁連元会長)は、15日の日本外国特派員協会の記者会見で、小池百合子知事のコロナ対策について指摘しました。

小池知事のコロナ対策で問題なのは感染拡大を防ぐための対応を早期の段階からしなかったことだと思います。
五輪延期が決まったとたんにオーバーシュートとか言い始めた。遅きに失した。

日本全体のコロナ対策で一番問題なのはPCR検査を徹底しなかったことです。
また、国も東京都も公衆衛生の拠点である保健所を一貫して減らしてきました。都の保健所は1994年に71カ所あったのですが、現在31カ所になっています。

小池知事は公衆衛生の拠点を減らしながら、コロナ対応で「東京アラート」と言い出しましたが、備えがなっていないんです。

その上、感染症病床の7割くらいを占める都立・公社病院を独立行政法人化するという。病院の経営効率化だけを考えている政策です。

その場その場だけでの対応やスタンドプレーでは感染症とたたかえません。日ごろから感染症対策のための保健所などを強化する、医療体制を充実させておく、これが最大の感染症対策だと思います。

(2020年6月18日付「しんぶん赤旗」より)

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