東京都知事選(7月5日投票)の焦点の一つがカジノを中核とする統合型リゾート(IR)の東京誘致問題です。
日本維新の会が推薦する小野泰輔候補は「IR推進」を明言しています。
小野氏は成長戦略の起爆剤として、「IRの積極的な誘致」を掲げ、都知事選告示日(18日)の第一声演説後、記者からカジノ誘致について問われ、「魅力ある都市のコンテンツとしてIRは意義がある」と答えています。
小野氏がこうした政策を掲げる背景には、維新がカジノ誘致に熱を上げてきたという経過があります。
維新大阪府・市政は「成長戦略」の目玉として、「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)へのカジノ誘致を進めてきました。
カジノを成長戦略の柱の一つにする安倍政権と相互補完しあい、国がカジノ管理委員会を発足する前から全国に先駆けてカジノ誘致手続きを進めるなど「カジノ依存症」と批判されるほどの異常な動きを続けてきました。
小野氏はIR推進の懸念として「選定プロセスが不透明でさまざまなスキャンダルが出ている」と指摘し、「問題点をクリアしたうえで進めていく」などと述べています。
しかし“スキャンダル”への追及は維新にも向けられるべきです。カジノ汚職問題をめぐっては自民党を離党した秋元司衆院議員が中国カジノ企業から370万円の賄賂を受けたとして逮捕されましたが、当時維新に所属し、その後離党した下地幹郎衆院議員も100万円の闇献金の受領を認めています。
維新の松井一郎代表は下地氏に「議員辞職すべきだ」との厳しい態度を示しましたが、一貫してIRを推進してきた維新の責任については口をつぐんでいます。
そもそもカジノは刑法が禁じる賭博です。ギャンブル依存症患者を多く生み、高利の借金を背負わされる消費者金融被害の危険性などもあります。人の不幸の上に成り立つカジノ事業は「成長戦略」―住民の生活を豊かにする経済政策とは無縁です。
広範な市民と野党が支援する宇都宮けんじ候補は公約で「カジノ誘致計画は中止する」と明言し、「カジノを経済活性化の一手段とすること自体が政治家としては禁じ手だ」と訴えています。
(2020年6月26日付「しんぶん赤旗」より)