大激戦となっている東京都知事選（７月５日投票）。小池百合子都知事は、どの政党からも推薦を受けないことを“演出”しますが、毎月のように自民党の二階俊博幹事長と会談を重ね、官邸と与党の支持を取り付けてきました。
カジノ誘致や社会保障費の削減などでは、安倍政権の重点政策と歩調を合わせ、新型コロナウイルス対策では安倍晋三首相とともに五輪開催に集中したことによる初動対応の遅れが指摘されています。安倍政権・与党“直結”の候補者像が浮き彫りになっています。
「政党推薦は求めず、都民の推挙を得るべくたたかいに挑みたい」―。こう強調した小池氏の都知事選出馬表明の記者会見（12日）は、「しがらみのない政治」を主張した前回選挙をほうふつとさせました。
安倍首相との会談で「グータッチ」する小池都知事（左）＝３月12日、首相官邸（官邸HPから）
とくに旧来の盟友でもある二階幹事長との接触を重ね、報道されているだけでも会談は昨年３月以降で１０回を超えます。
二階氏は1994年発足の旧新進党時代からの小池氏の盟友で、今回の都知事選に向けても自民党内での候補者選定も始まっていない段階から「小池知事が出馬するなら全面的に協力するのは当たり前。実績を見てもわかるじゃないか」（昨年３月４日の会見）と発言し、安倍首相も「ずいぶん早いね」と漏らすほど。
小池氏は翌５日の会見で「非常に力強く『支えていくよ』という言葉をいただき、ありがたく思っている」と応じました。
同15日には小池、二階両氏は都内のホテルで会食し、安倍首相も同じ店に居合わせました。官邸・自民の小池支援体制は早くから築かれてきたのです。
８月には二階氏が小池氏の政治資金パーティーで講演し小池氏を持ち上げ。定期的に行われている小泉純一郎元首相を囲んだ会食でも盛んに小池氏に「エール」を送りました。
昨年末には安倍首相が「小池百合子知事に勝てる候補はいないのではないか」（12月17日）と発言。
公明党の山口那津男代表も小池氏の都知事再選が有力だと示唆（同24日）するなど、事実上の政権公認の地位を固めたのです。
コロナウイルス感染拡大の危機が深まるなか、東京五輪の延期が決まった３月24日には、二階幹事長が独自候補の模索を主張する東京都連を押し切って党執行部としての小池支援を決めました。
小池氏が出馬会見で政党推薦の辞退を表明するまで、二階氏は「小池支援」を繰り返し表明。小池氏の政党推薦辞退の表明を受け自民党が「自主投票」を決めても、二階氏は「自民党としてしっかり応援したい」と記者団に語っています。
公明党の山口代表も16日、小池氏を「実質的に応援する」と発言しました。
いま、選挙終盤に向かう中で自民党二階グループのベテラン国会議員の一人は、「二階グループは小池さん（の応援）を一生懸命やっている」と明言。
小池知事の「政党推薦なし」は、パフォーマンスにすぎず、まさに自民・公明直結の選挙です。
市民と野党の共闘で、これに正面から立ち向かう宇都宮けんじ候補は、効率優先で医療、社会保障削減を進める小池都政を転換し、生存権を守る都政を実現するたたかいを大きく広げています。
■2019年
３月15日 小池氏と二階氏が都内のホテルで会食。同じ店に安倍晋三首相も
５月18日 小池氏と二階氏らが都内で会食
８月20日 小池氏が自分の政治資金パーティーに二階氏を講師として招く
９月26日 小池氏が二階氏と自民党本部で会談
10月10日 小池氏、二階氏、小泉純一郎元首相らが都内で会食。「小池氏に勝てる候補者はいない」 (小泉氏)
10月18日 小池氏が二階氏と自民党本部で会談
12月17日 安倍首相が二階氏との会談で「小池百合子知事に勝てる候補はいないのではないか」と発言
12月24日 小池氏が二階氏と自民党本部で会談
■2020年
２月４日 小池氏が二階氏と自民党本部で会談
３月12日 小池氏が安倍首相と官邸で会談
３月24日 小池氏が安倍首相と官邸で会談
３月24日 二階氏、下村博文選対委員長らが自民党本部として小池氏の再選支援固める
４月28日 小池氏が二階氏と自民党本部で会談
５月14日 小池氏が二階氏、岸田文雄政調会長と自民党本部で会談
５月18日 下村氏が首相に独自候補擁立断念を報告。安倍首相は「やむをえない」
６月３日 小池氏が二階氏、稲田朋美幹事長代行らと自民党本部で会談
６月９日 二階氏、小泉氏らが都内で会食。小池氏は電話出席
（2020年６月28日付「しんぶん赤旗」より）
