東京都知事選(7月5日投票)をめぐる論戦で、日本の過去の植民地支配への反省や人種差別反対に対する小池百合子都知事の露骨な逆行ぶりに批判が集まっています。
問題となっているのは、毎年9月1日に東京都墨田区の横網町公園で行われている、関東大震災(1923年)で虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典をめぐる小池知事の対応です。
チューズ・ライフ・プロジェクト主催の27日のインターネット番組「都知事選候補者討論会」で、司会の津田大介氏は、小池氏が同式典への追悼文を2016年は送付したのに2017年以降は取りやめたのはなぜかと追及。
小池氏は「(2016年と2017年以降で)気持ちに変わりはない」、「震災や戦争犠牲者全体への『大法要』で哀悼の意を表している」との回答を繰り返し、まともに答えませんでした。
さらに津田氏が「虐殺と自然災害の犠牲者を一緒くたにして問題ないという認識か」と質問すると、小池氏は「『大法要』での慰霊に併せてもらっている」と述べ、問題ないとの認識を示しました。
しかし朝鮮人虐殺は、震災直後に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマが流され、旧日本軍や警察、自警団などが起こした集団殺害です。民族差別に基づく虐殺だという事実を認め、戒めを後世に残すという共通認識のもと、戦後に超党派で都議が参加して同公園に「朝鮮人犠牲者追悼碑」を建立(1973年)し、歴代都知事が追悼文を寄せてきました。
小池氏の発言は、虐殺の事実をあいまいにして、歴史的事実に向き合おうとしないものです。
(2020年6月30日付「しんぶん赤旗」より)