東京都知事選で「東京の未来は都民と決める」と掲げている現職の小池百合子知事が、選挙の重要な争点について自らの考えを明確にしない態度を続けています。
都民が「誰に入れるのか」を判断する材料を示さないのは、不誠実な姿勢と言わざるを得ません。
小池氏が特に曖昧な態度を貫いているのはカジノを中核とする統合型リゾート(IR)誘致です。
東京の未来に関わる重要な問題ですが、小池氏が6月15日に会見して発表した政策には記載せず。同会見で記者から「IR誘致に関する選択材料を有権者に与える意味でも誘致の是非について明言を」と問われても「メリット、デメリットについて検討していく」と述べただけでした。
都知事選告示前日(17日)の日本記者クラブ主催の共同会見でも、宇都宮候補に誘致中止の判断を迫られ、記者から「賛否を明らかにすべき」だと迫られても同様の発言の繰り返し。
27日の討論会では「△」と回答しました。
またレインボーブリッジを赤くライトアップする「東京アラート」についても基準の曖昧さへの疑問の声が多く上がり、宇都宮氏が17日の共同会見で、この点をただしましたが小池都知事はまったく答えずじまい。
27日の討論会では、司会の津田大介氏から関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典への追悼文送付を取りやめたことを問われても、まともに答えませんでした。
そもそも小池都知事は街頭演説も一切せず、テレビ討論会も行われていないために候補者としての動きはほとんど見えません。
タレントの松尾貴史氏は「毎日」28日付で今回の都知事選について「現職が意図的としか思えないほど目立たないように振る舞っているように見える。『雲隠れ選挙』『トンズラ選挙』ともいわれているようだが、大きな違和感を感じる」「このまま逃げ切ってしまおうという戦術だとすれば、あまりにも姑息で、狡猾ではないか」と指摘しています。
一方、宇都宮氏は連日街頭演説に立ち、丁寧に自らの政策を説明。カジノ誘致候補地や保健所などの現場を視察し、住民らの声を聞いています。
選挙運動の取り組みからも、誰が都知事にふさわしいかは明らかです。
(2020年7月1日付「しんぶん赤旗」より)