【参院内閣委】田村智子議員 “国は検査に予算・人的支援を”

日本共産党の田村智子議員は27日の参院内閣委員会で、新型コロナウイルス感染症のPCR検査の対象範囲は自治体任せにせず国が具体的な戦略と方針を持って予算・人的支援を具体化することや、保健所強化の戦略的方針を持つように求めました。

質問する田村智子議員=27日、参院内閣委

質問する田村智子議員=27日、参院内閣委(「しんぶん赤旗」提供)

政府は行政検査(公費負担)で行うPCR検査の対象について7月初旬までは「濃厚接触者まで」としていましたが、その後徐々に広げ、今はクラスター発生地域などの医療・介護施設の職員や新規入院・入所者の検査も自治体判断で可能としています。

田村議員は、対象拡大について「私たちが要求した方向と合致するが『自治体の判断でこういう検査ができる』ということにとどめてよいのか」と提起。
軽症者・無症状者が感染を広げてしまったのが7月ごろからの「第2波」の特徴だと指摘し、国がエピセンター(感染震源地)を中心に大規模で網羅的な検査を行うなど無症状の感染者を積極的に見つけ出し保護する戦略を持ち、感染の波がいったん収まっても検査を増やすように求めました。

西村康稔担当相は「自治体で個別事情を踏まえて実施すること」と述べるだけでした。

田村議員はまた、PCR検査センターの設置に対する国の支援が臨時の交付金にとどまっていることにふれて「コロナ対策は数年くらい必要だと考えられる。常設的に自治体が人を配置し、機器をそろえられる予算が必要だ」と主張しました。

保健所強化の戦略的方針持て

田村議員は、感染者らと接触した人の追跡・隔離が感染症対策の基本だと指摘。これを担う保健所の体制強化が急務だとして「政府の確固たる方針とすべきだ」と迫りました。

米ニューヨーク州では、接触者追跡を行う「トレーサー」の配置基準を人口10万人あたり最低30人と定めています。
この基準だと東京都は4200人となりますが、都内の保健所に配置されている保健師は1069人で、全職員数でも3608人しかいません。「日本の接触追跡の位置づけ、体制はあまりに脆弱(ぜいじゃく)だ」。田村議員は厳しくただしました。

厚労省の小島敏文政務官が、外部委託などで負担軽減を進めていると説明したのに対し、田村氏は現場の悲鳴を突き付けました。

同省は他部署からの応援も含めた臨時的人員増で対応していますが、現場は過労死ラインを超える長時間勤務が常態化しているうえ、応援職員の受け入れで保健所が“3密”になっているなどの実態です。

田村議員は「(職員が)ストレスで倒れてしまう。日本も一定の基準を示して恒常的な人員増、体制強化に踏み出すべきだ」「保健所の数も保健師の配置も何も基準がない。国が戦略的な体制強化の方針を持つべきだ」と繰り返し求めました。

感染者差別・バッシング防止策の強化を求める

新型コロナウイルス感染者や関係者らへの差別・バッシングが重大な問題となっています。学生の感染が確認された大学の場合、大学が丸ごと非難されたり、同じ大学というだけで「アルバイトを休め」と言われ、教員実習を断られる―という事態が起きています。

田村議員は「感染者本人への差別を含め、絶対に許されない人権侵害だ。それを政府が明確に繰り返し意思表示すべきだ」と防止策の強化を求めました。

西村担当相は「差別、偏見はあってはならない。積極的に発信していきたい」と答弁。田村氏は、差別を背景にPCR検査を拒む人が出ているとして、「感染症対策に逆行する。(差別は)害悪しかもたらさない。やめるように、強く発信してほしい」と重ねて求めました。

(2020年8月28日付「しんぶん赤旗」より)

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