小池知事条例専決 命より政治的思惑

都議会閉会 米倉都議が批判
都議会定例会は8日、PCR検査の福祉施設への拡大や、65歳以上を対象にインフルエンザの予防接種の自己負担分を助成するなど、新型コロナウイルス対策に充てる総額約3436億円の補正予算案など31議案を可決し、閉会しました。

補正予算を可決
日本共産党は補正予算に賛成、都民・事業者に義務を課す新型コロナウイルス対策条例改定の専決処分の承認などに反対しました。また新型コロナ対策を検証、調査する特別委員会の設置を求める動議を提出。立憲民主党、生活者ネット、自由を守る会が賛成しましたが、都民ファーストの会、自民党、公明党などの反対で否決されました。
日本共産党の米倉春奈都議は討論で、今議会の最大の焦点となった、事業者に感染防止宣言ステッカーの掲示を求める新型コロナ対策条例改定について、小池百合子知事が議会に諮らずに決める「専決」(7月30日)で決定したことを、「議会が決定し、知事が執行する二元代表制の否定につながる」と批判しました。
小池知事は同条例の改定を臨時都議会の閉会後、わずか3日後に専決で決定しました。議会を招集しないで専決処分することを巡っては、政府が「明確な根拠がない場合は違法」との見解を示しています。

根拠示せず
条例改定の内容は、事業者が感染防止ステッカーを掲示すること、都民がステッカー掲示店を利用することなどを努力義務にするもの。
米倉都議は「感染防止宣言ステッカーに感染防止の効果があるのかどうかも把握せず、科学的根拠のない条例改正をした」と批判。「本会議および委員会の質疑を通して、専決処分する明確な根拠は、ついに示されなかった」とし、違法性が問われると厳しく指摘しました。
米倉都議はまた、小池知事がコロナ対策審議会(7月30日)で「私は7月中にすべてを終えて、8月からオリンピックモードにしようというのを念頭にしていたが、なかなかウイルスもしつこいところがございます」「いずれにしても、この夏になんとか片付けないと、そのあとにつながらない」と発言していることを告発。
「要するに知事は都民の命を守るためではなく、早くオリンピックモードにしたいという、政治的思惑から専決処分をしたということ」だとのべ、専決処分に反対を表明しました。

さらなる「改正」も
定例会には、議会による専決処分の承認を得ていない新型コロナ対策条例を、さらに改正する議案が提案されました。都民が検査を受けることや、患者などがみだりに外出しないことを努力義務とするもの。パブリックコメント(意見募集)期間は、都が原則30日以上としているのに、わずか6日間でした。区市町村からは「みだりに」という言葉は不適当などとの指摘も出ています。
米倉都議は「やり方も中身も問題で、反対だ」とのべ、慎重な検討を求めました。

検査の拡充求める
米倉都議はPCR検査数を1日数万件に増やし、医療機関や保育園も対象にするよう求めました。
また、コロナ禍で保健所が多忙を極め疲弊していると指摘。小池知事が代表質問に「保健所の取り組みを検証し、あり方を検討する」と答えたことに触れ、「保健所統廃合の是非を含め検討し、増設など抜本的拡充を」と求めました。
さらに、都が出した長期戦略策定の方向性について、「中心はデジタル化の推進」で「都民や事業者が直面している深刻な困難に向き合うものとなっていない」と指摘。ポストコロナの社会に向けた方向性を示すというならば、「都民の命、健康、福祉、暮らし、営業をどう守るのか示すことが求められている」と強調しました。

五輪決議に反対
東京オリンピック・パラリンピックに向け「全力で取り組む」とした決議を、都民ファーストの会、自民党、公明党、立憲民主党などの賛成多数で可決しました。日本共産党、生活者ネット、自由を守る会は反対しました。同決議は「意見書・決議は全会一致で」という都議会のルールを破って上程されたもので、共産党都議団は、これに抗議しました。
決議文は都ファ、自民、公明、立憲などの共同で提案されたもので、「大会の開催と成功に果敢に取り組むことは、世界の人々に勇気と希望を与える」などとのべています。
共産党の、とや英津子都議は討論で、新型コロナウイルスに収束の見通しが立たない中、「命と安全を最優先に、開催できない事態も想定した対応と、開催自体の可否を、誰が何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にする必要がある」と強調。延期や感染症対策に伴う追加費用が数千億円とも報じられているとし、金額や経費の負担者など「全容を明らかにさせて議論すべきだ」と主張しました。

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