事故現場から数十メートルに暮らす女性
陥没した後も微振動が続いています。その揺れが時々「ぐんっ」と大きくなるときがありドキッとします。
このまま地底に引き込まれるんじゃないか。道を歩く時もどこかで落ちるんじゃないかと恐怖でいっぱいです。
玄関を出ると警備員が昼夜を徹して警備している、そういう状況の中に私たちはいます。公共工事で死を意識しないといけないようなこんな工事ありますか。
この事故は予見されていたと思います。これまでたくさんの疑問を国交省に投げかけてきました。調布市の防災計画によれば、ここは地盤振動の危険の非常に強い地域です。構造物にリスクが及ぶ地盤です。そういうことが分かっていながらトンネルエ事をする。国交省の計画がずさんです。何も(地上に)影響はないということでこの計画は進んでいます。
どうして私たちの命や、暮らし、健康がずたずたにされないといけないのか。根本の安全性からもう一度検証してください。
陥没現場の近くに住む女性
事故から3日後に自宅の裏の方が、壁がきしむ音やついたてが斜めになっているんじゃないかと(事業者に)申し入れをして、家の周辺で調査を始めました。
工事関係者が家にきて「避難の準備をしてください」と言いに来た時は、なんで避難しなきゃいけないのかとびっくりしました。
主人がどこに避難すればいいのかと質問しても「これから(避難先を)用意するので準備だけお願い」と言われました。大学生の孫が貴重品などすぐに準備しないといけないものを準備してと言ったので私も準備を始めました。
ところがしばらくして孫が「怖いよ。ばあば、どうしよう。怖くて怖くてしょうがないよ。どうにかして」と、わんわんと泣き出したんです。
その時に思いました。もう1カ月も下からの騒音と振動で私たちぐちゃぐちゃになっています。何かの音でドキッとして、ときどき家から飛び出すこともあります。そんなことが続いて「避難して」と言われたら私たちはどうしたらいいのか分からなくなります。
「避難は大丈夫です」と言われてもう肩の力も全部抜けて、精魂尽き果てたような感じでした。
大深度法が地上に影響がないという前提でどこまで私たちが我慢しなければいけないのですか。どうしてこんなに命の危険をさらさないといけないんですか。国がしていいのか、工事を止めてください。(おわり)
(2020年11月7日付「しんぶん赤旗」より)