関越道と東名高速を結ぶ16キロメートルを、市街地の真下を貫通する巨大地下トンネルで接続する東京外かく環状道路(東京外環道)工事で、10月18日の道路陥没事故に続き2日、幅約4メートル、長さ約30メートルにわたる空洞が発見されました。2018年からの度重なる異常事象に、住民の恐怖は頂点に達しました。
解明へデータ示せ
地下空洞は陥没事故を受けた周辺での地盤調査で発見されたもの。NEXCO東日本所有地での地下ボーリング調査でわかりました。NEXCO東日本によると2日午後0時20分に空洞の可能性を確認。3日に詳細を調査し、4日に住民に説明したといいます。近隣住民は「またか。2日間も知らされないなんて信じられません」とNEXCO東日本の対応に不信感をにじませています。
東京外環の巨大地下トンネル工事は2017年2月、東名高速道側から始まりました。工事に際して、施工者である国交省やNEXCO中日本・東日本は「地下40メートル以深の大深度地下の工事であり、地上には影響がない」と強弁してきました。
しかし、着工以来、野川での中州出現や酸欠気泡の噴出、工事箇所地上の騒音や振動などの他、ブロック塀の亀裂、住宅接道面の沈下などの異常事象が続いています。住民はNEXCO東日本らに異常を通報し、説明を求めてきましたが、工事との因果関係を認めませんでした。またマスコミから「騒音・振動の通報件数」を質問しても明確に答えようとしてきませんでした。
難工事 カッター停止も
前回の道路陥没に続き、2度に渡る地中の空洞の存在は住民を恐怖に落としめています。地域に住む女子大生は「怖いよ。どうなるの」と涙をこぼすといいます。「NEXCO東日本は隠ぺい体質だ」との憤りも住民から聞こえます。
今回の地中空洞を議題にした5日の第3回東京外環トンネル施工検討委員会有識者会議後の記者ブリーフィング(説明)では、NEXCO東日本は「早急に埋め戻しをしたい」旨を発言。
早稲田大学名誉教授の小泉淳委員長が前回と同様に「工事で土砂を取り込み過ぎたのか、詳細なデータ」が必要とした他、「前回の陥没では早急に埋め戻しがされたために、下水管の破損が陥没前からなのか、陥没に伴うものかわからなかった」と語っています。さらに「工事中、地層の変化に伴い、地上への振動などが起こる可能性」を示唆しました。
NEXCO東日本は工事中にシールドマシンのカッターが固い礫層にあたりカッターの刃が停止したため、発泡剤を添加するなどの対応があったとし、難工事であることが明らかになりました。
東京民報記者が「国交省は振動は環境基準以下だと発言し、事業者らは住民の安全安心を言いつつ協力という名の我慢を強いている。地域は田んぼ跡だ。地盤の問題も含み、住民説明会を早急に開き情報開示する予定はあるのか」と質問したところ、NEXCO東日本は「環境基準を満たしているから良いというわけではない。住民説明会は準備している」と回答しました。
説明会 因果関係認めず
ところが、6・7両日行われた住民説明会は、マスコミをシャットアウト。参加者は案内を渡された住民だけしか認めないという状況でした。NEXCO東日本は、陥没・空洞ともに工事との因果関係を認めず、住民は怒りと恐怖をさらに強めています。
日本共産党の宮本徹衆院議員は「前回の陥没に続き、地下空洞の発見など一連の事象は、東京外環道工事の直上で、工事への不安がいっそう広がっています。いまだ土砂の取り込みの詳細なデータすら示されていない。直ちに開示するとともに、住民の安全確保のために早急に第三者委員会を立ち上げて原因究明すべきだ」と話しています。