菅義偉首相は新たに立ち上げた成長戦略会議のメンバーに“正規雇用は守られ過ぎている。首を切れない社員は雇えない”という内容の発言(10月末放送)をした竹中平蔵氏を選んでいます。日本共産党の田村智子副委員長が7日の東京都杉並区の演説で、自身の経験も交えて政府の労働政策を批判した部分を紹介します。
「正社員にはなれないんだ」と
丸めた履歴書を投げつけた
若い女性の怒り今も
私は国会議員になる前から非正規雇用の問題に取り組んできました。リーマン・ショック(2008年)で派遣切りがやられ、街頭で労働相談にも取り組みながら「非正規雇用がこんなに増えてしまった世の中を変えたい。正社員が当たり前の世の中にしたい」と訴え続けてきました。
その時に鮮烈な経験をしました。
「正社員が当たり前」と呼びかけていた時です。目の前を通りがかった若い女性が、ものすごい声で怒鳴りつけて何かを私に投げつけて立ち去ったのです。何を投げつけ、何を言ったのか。演説が終わってから周りの人に聞きました。
渡されたのは、くしゃくしゃに丸められた彼女の”履歴書”。それを「正社員なんかになれないんだ」と、そう叫んで投げつけていったというのです。
おそらく就職活動で何社も何社も回り、就職が決まらない時に政治家がなにをのんきなことを言っているんだと思わず怒りがこみ上げたのでしょう。
私は彼女と話したかった。政治にできることはあるんです。もともと、自公政権が竹中平蔵さんのような人を重用して、非正規雇用を増やせるような法律を次から次へとつくっていったことに大きな問題があります。
以前は専門的な知識と技能を生かしたごく一部の専門職の方が派遣という働き方でした。本来、長く続く仕事は短期間の雇用契約をやってはならないという立場で法律もつくられていました。
ところが、それを誰でも派遣で雇えるかのように広げてきたのが政治です。3カ月契約など短期契約が当たりまえ、こんなふうにはびこらせてしまった。
日本共産党は、企業・団体献金を一円も受け取っていない政党です。目先の利益で労働者を犠牲にして、若者の人生を細切れにするような雇いかたをすれば、どんな大企業でも正々堂々と物を言います。そして、さまざまな法案提出を行ってきました。
非正規雇用拡大を進める自公政治、菅政権にかわって日本共産党と野党が連立政権をつくり、働く皆さんを守っていく政治を今こそ求めていこうではありませんか。
(2020年11月14日付「しんぶん赤旗」より)