第三者から卵子や精子の提供を受けた生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を確定する民法特例法案が19日、参院法務委員会で自民、公明、立民などの賛成で可決しました。日本共産党、参院会派「沖縄の風」は反対しました。
法案では、親子関係の規定を設ける一方で、生殖補助医療そのものの規制や、子の「出自を知る権利」の規定のあり方については今後2年の検討課題としています。
日本共産党の山添拓議員は質疑で、法制審議会の議論でも、親子関係の規定は、法律で生殖補助医療の行為規制がされることが前提とされてきたことなどをあげ、「生殖補助医療がいかなる要件の下に認められるかが定まらないのに、親子関係を先に定めるのは不可能であり、適切でもない」と指摘。さらに、生殖補助医療のもとで生まれた子が出自の秘密を知り、アイデンティティーが崩れ、自分自身を肯定できなくなる問題も生まれていることをあげ、法案提出者の見解をただしました。
法案提出者の自民党の古川俊治議員は「出自を知る権利をできる限り認めようという意見の一方、認めた場合、配偶子の提供者が減ってしまい、必要な治療を受けられない状況もある」などと答弁し、出自を知る権利自体を認めない可能性も明らかになりました。
山添氏は、討論で「生殖補助医療で生まれた当事者、医療や法律の専門家など幅広い人の意見を丁寧に聞き、十分な検討を行うべきだ」と述べ、今国会での成立ありきの前のめりな姿勢を批判しました。
(2020年11月20日付「しんぶん赤旗」より)