外環道はきっぱり中止に 都議会決算委 共産党・原田都議が追及

 地中深くトンネルを掘り進む東京外かく環状道路(外環道)建設工事の真上の住宅街(調布市)で、道路陥没や地下空洞が見つかった問題で日本共産党の原田あきら都議は、小池百合子知事も出席して開かれた都議会各会計決算特別委員会(11日)で都の対応をただし、国や事業者まかせにせず、都が都民の生命と財産を守る立場を明確にすべきだと求めました。

陥没事故「都民守る立場を」
 東京外環道工事は、事業者である国土交通省と東日本高速道路(NEXCO=ネクスコ=東日本)が、大深度だから地上に影響はないとして、振動などの異常を訴える住民の声を無視してトンネル掘削工事を推進。陥没(幅5㍍、深さ5㍍)は10月18日に、空洞はその調査中の11月2日、陥没現場から北側約40㍍地点の地下約5㍍で見つかり、幅約4㍍、厚さ約3㍍、長さ約30㍍にも及んでいました。事業者は工事との関連を認めていません。
 東京外環道の地下トンネル工事を巡っては、これまでも地上部で振動や異音、壁のひび割れ、有害な酸欠気泡の発生など、異常な出来事が相次いでいました。住民は不安を募らせ、情報開示や原因究明、工事の中止を求めてきました。しかし都は、第一義的には国など事業者の責任だとし、何が起きても国などに「丁寧な説明」を要望するだけか、国の言い分を繰り返してきました。
 また都が以前から公表が望ましいとしている地表面高さの測量データや陥没事故の原因として強く疑われる掘削土量のデータなどの情報公開についても、都は国など事業者が行うものとして、都として求めていく姿勢はみせていません。

歴代部長全員 国交省出身
 原田都議は「このような重大事故が起きた以上、その姿勢はもう許されない」と強調。都市計画法に基づき事業者に対し、報告や資料提供の要求、問題があれば勧告や認可取り消しの権限があるのに、都は「まるで東京都の権限はないかのようにふるまってきた」と批判しました。
 さらに外環道事業を推進する「トンネル施工等検討委員会」に参加している都の外環道担当部長も、国の言い分を代弁する役割を果たしていると指摘した上で、歴代部長7人全員が国土交通省出身だったことを明らかにしました。

緊急時対応 機能せず
 原田都議は、陥没事故当日の事業者の対応について質問しました。事業者は住民から求められた避難計画策定を拒否し、「緊急時の対応」という文書を事前配布していました。何かあった時には音響機器を備えた緊急車両が走って、避難を呼びかけるとしていました。
 ところが事故当日に緊急車両が走ることはなく、ネクスコ職員が住民に避難を呼びかけたのは陥没発見から4時間も経過していたなど、対応が後手にまわりました。その理由を原田都議がただしたのに対し、中島高志建設局長は緊急時に該当しないと国などの事業者から聞いていると答えました。
 原田都議は「今回のような事故は想定すらしていなかったということ。『安全神話』の最たるものだ」と批判。「付け焼き刃の対応では住民の命を守れない」と強調。避難計画の策定を事業者に求めるべきだと迫りました。中島建設局長は「安全・安心に事業を進めることは国など事業者の責務」とし、「引き続き国に求めていく」との答弁を繰り返しました。
 原田都議は「街も暮らしも自然も破壊され、財産も破壊されるような外環道計画は、きっぱりとやめることを決断するしかない」と訴えました。

聞こえのバリアフリー
 原田都議はまた、高齢者から要望が強く、共産党都議団としても重視してきた高齢者の難聴と補聴器支援の取り組みについて質問。都が区市町村に「高齢者への補聴器支給等に対する補助の考え方について」(1月31日)という事務連絡を出した経緯をただしました。
 吉村憲彦福祉保健局長は、区市町村が行う高齢者への補聴器支給等の取り組みを都が支援する「包括補助事業」について、区市町村からの問い合わせが多いため、補助要件を明確にするためだったと説明。この間、新たに3自治体が補助を利用し、7自治体になったと明らかにしました。
 原田都議は、独自実施の自治体を加えると補聴器補助は12自治体まで広がっているとし、知事の認識をただしました。
 小池知事は「多くの高齢者にとって難聴は身近な問題であり、こうした方々が必要な情報を容易に入手できる環境の整備を進めていくことが重要」との認識を示し、「今後とも高齢者の聞こえの支援を推進していく」と表明しました。
 原田都議は小池知事がこうした認識を示したことは「重要」と評価。都の包括補助とは別の独立した補助制度の検討・拡充など、聞こえのバリアフリー推進を求めました。

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