日本共産党東京都議団の和泉なおみ幹事長は12月都議会閉会日の16日、談話を発表しました。以下、全文を紹介します。
1. 新型コロナから命とくらしを守る論戦と条例提案
今定例会は新型コロナの第3波の中で行われ、都民の命とくらしをどう守るのかが厳しく問われました。「感染対策短期集中」「勝負の3週間」と言いながら、小池知事も、菅政権も必要な対策を講じなかったことで、感染者はさらに増える結果となり、極めて深刻です。あらゆる「対策」が個人や事業者の努力任せで、深刻な感染拡大とくらしの危機に応えるものになっていません。
日本共産党都議団は、議会での質問や申し入れなどを通じて、ただちにとりくむべきことを提案してきました。また、都議会会議規則に定められている30日よりも極端に短い会期の延長や、特別委員会の設置を提案し、徹底審査を求めました。
<検査・医療>
感染拡大防止のためには、徹底した検査が必要です。わが党は、一人でも陽性者が出た際に、濃厚接触者に限らずその周りを広く検査することや、陽性者が出ていなくても、医療施設、福祉施設、特別支援学校などへの一斉・定期的な検査を行うことの重要性を示し、都の方針として打ち出すよう提案しましたが、小池知事はこれに答えませんでした。これまでの対策では、感染拡大を食い止めることができなかったことは明らかです。検査の抜本的強化の方針を打ち出すことが必要です。
医療崩壊を防ぐためには、新型コロナの患者を受け入れた病院だけでなく、他の医療機関への支援が不可欠です。わが党は、コロナの患者も、その他の患者も守れるよう、国に要望するとともに都医師会が求めている都独自の補助の実現を求めました。
<くらし・経済>
年末年始に向け、くらし、雇用、営業、住まいを守る対策が必要だと提案しました。特に誰ひとり取り残さない立場で、ワンストップで相談できる体制を整備し、区市と連携して相談窓口を開くよう強く求めました。また、住まいを失ってしまった方に対して、線引きせず、住宅に困窮するすべての人が利用できるよう求めました。
飲食店等が営業時間短縮を行った場合に協力金を支給することは重要ですが、積極的な検査と一体で実施することが不可欠です。同時に「自粛と補償はセット」で行うことが必要であり、国と連携しながら「年越し給付金」の支給など、中小企業・小規模事業者に対する直接支援に踏み出すことを求めました。
<くらしに役立つ5つの条例提案>
日本共産党都議団は、コロナ禍で深刻な影響を受けている都民の生活を応援する立場から、学生への緊急応援給付金、ひとり親家庭への支援、シルバーパスの改善、小中学校の給食費への助成、島しょの方々が島外の病院に通う際の交通費・宿泊費半額補助のくらしに役立つ5つの条例提案を行いました。条例案は、都民ファースト、自民党、公明党などの反対で成立しませんでしたが、引き続き都民のみなさんの運動と力を合わせて、実現に向けて奮闘します。
2. 切実な都民要求の実現に向けて奮闘
<少人数学級いまこそ実現を>
少人数学級実現を求める世論が急速に広がり、全国で500を超える議会が意見書をあげています。全国知事会も少人数学級を求める緊急提言を発表しました。この提言について知事は、「安全・安心な教育環境を確保しつつ、すべての子どもたちの学びの保障に向けた取り組みは必要」と答弁しました。都として文科省を後押しし、教員定数の改善等に踏み出すことが必要です。わが党は、少人数学級への予算措置を国に求める意見書を文教委員会に提案しましたが、実現できませんでした。引き続き、一致点を広げる努力を進めます。
<保健所の増設・拡充>
知事との意見交換の場で、複数の都内自治体から保健所の増設・拡充について要望が出されていることを紹介し、その実行を迫りました。知事は「都の保健所の体制強化など、さまざまな貴重なご意見をいただきました」「保健所の取り組みについて検証した上で、改めてそのあり方を検討」すると答弁しましたが、保健所の増設も含めた拡充につなげていくことが必要です。
<都立・公社病院の独法化やめよ>
コロナ危機のもと、都立・公社病院は、都民の命を守る最後の砦であり、都の医療政策の屋台骨の役割をはたしています。ところが知事は、病院への財政支出を手厚くするどころか、削減するための独法化に執着し続けています。独法化後の病院運営では、民間医療機関と競い合い、収益の向上を目指すことも否定しませんでした。経営効率を最優先とする独法化は、収益を増やすためにもうかる医療が重視され、民間医療機関では対応困難な不採算医療を減らす見直しが、絶えず検討されます。不採算でも都民に必要な医療を提供し続けるために都立直営で充実し、独法化は中止することを強く求めました。
<多摩・島しょへの財政支援、子ども食堂への支援>
多摩・島しょへの財政支援を求めた質問に、「地域の課題に即した支援が行えるよう検討」すると重要な答弁がありました。また、子ども食堂について、都は「地域での子ども食堂の取り組みが進むよう区市町村を支援」すると答えました。これらが今後の予算に反映されるよう求めていきます。
<パートナーシップ制度の実施>
同性パートナーを、男女のカップルと同じように差をつけることなく伴侶として、家族として認めてほしいという切実な要望に応えるためには、同性パートナーシップ制度をつくるしかないことが鮮明になりました。性的指向による差別を禁止した人権尊重条例をもつ都として、ただちに踏み出すべきです。
<五輪大会開催への慎重な対応>
世界的な新型コロナ感染拡大の中、来年7月の東京大会は、開催ありきの前のめりになるのでなく慎重に判断するとともに、大会延期にともなう追加経費の負担のあり方について、都民、国民の意見を聞くよう求めました。
<外環道事業中止を>
外環道工事の真上で起きた陥没や、巨大な空洞が見つかった問題で、知事からは住民の明日をも知れぬ恐怖や絶望に心を寄せた答弁はありませんでした。それどころか、知事は国に対し、東名以南のさらなる大深度地下トンネル計画を迫っています。言語道断です。都市計画法の外環道事業の認可権を持っているのは小池知事です。都民の命と財産に責任を負っている都知事として、今年度末に迫った認可期限の延長はしないと表明することを強く求めました。
3. 税金の使い方を改め、命、くらし、福祉を守る都政への転換を
コロナ禍で、都民のくらしがかつてないほどの危機に直面しているなか、税金の使い方は、今こそ都民の命とくらしを最優先にすべきです。しかし、各局要求では外環道や都市計画道路など大型開発、不要不急の事業は例年通りで、福祉予算では、特別養護老人ホームも老人保健施設も認可保育園も整備予算は減額要求です。
わが党の質問に対し、都は「見直すべきものは見直す」と答弁しました。日本共産党都議団は、大型開発など不要不急の事業を抜本的に見直し、都民の命、健康、福祉、くらし、営業を守りぬく都政の実現のために、18議席の力を発揮し、都民の声と運動と力を合わせて全力を尽くす決意です。
(2020年12月18日付「しんぶん赤旗」、日本共産党東京都議会議員団ホームページより)