東京外環道訴訟の原告団・弁護団は25日、東京地裁内で記者会見し、外環道事業の施工期間延伸の差し止めを求める訴訟を起こしたと発表しました。原告は杉並区、三鷹市、調布市、世田谷区の13人。係争中の大深度地下使用認可無効取り消し訴訟との併合審査が行われます。
外環道は、大深度地下使用認可と都市計画事業認可を受けています。大深度認可には期限がありませんが、都市計画事業は2014年3月に国土交通相と都知事が認可。施工期間を21年3月31日までと定めています。
原告らは、事業者(国交省とネクスコ東日本、ネクスコ中日本)から失効前に延伸の申請が出た後、国と都に申請を認めず、認可しないよう求めて提訴しました。
外環道をめぐっては10月18日、調布市で市道が陥没し、周辺の地中に空洞が発生しました。ネクスコ東日本はトンネルエ事と陥没の因果関係を認め、「地上には影響がない」とした大深度使用法の前提が崩れた形です。
武内更一弁護士は「警告していたことが起きた。シールドマシン(掘削機)は成熟した技術ではなく住宅地の真下では危険な工事だ。土地、建物所有権、財産権を侵害しかねない。大深度地下使用法自体が憲法29条の定める財産権を侵害する法律だ」と話しました。
原告で調布市の國井さわ美さん(65)は「陥没などが起きたらどうするのかと聞いたら仮定の話に回答はできないと事業者はいってきた。庶民にとって住宅を購入するのは一生に一度の大きな買い物。つらくて悲しい」と声を詰まらせました。
日本共産党杉並区議の山田耕平さんは「住宅への物理的被害にとどまらず、資産価値の下落が起きている。有識者委員会の小泉委員長は『掘ってみなければわからない』と無責任な発言をした」と語気を強めました。
(2020年12月26日付「しんぶん赤旗」より)