東京・調布
東日本高速道路(ネクスコ東日本)は15日、東京都調布市東つつじケ丘2丁目の東京外郭環状道路(外環道)工事現場付近のボーリング調査で地中に3カ所目となる新たな空洞が見つかったと発表しました。周辺一帯は住宅街で、住民生活へのさらなる影響が懸念されています。
新たな空洞は、昨年10月18日に陥没した市道から北に約120メートルの地点で見つかりました。
ネクスコ東日本によると、空洞は約16メートルの深さにあり、幅約4メートル、長さ約10メートル、内部の高さ約4メートルです。
外環道は地上から約40メートルの深さを掘削する計画で、新たな空洞が見つかったのは、陥没の発生により稼働を停止しているシールドマシン(掘削機)の真上にあたります。
本紙の取材にネクスコ東日本関東支社の担当者は「空洞が確認されたのは14日正午すぎで、同日中に大きさが判明した。原因は分かっていない」といいます。
現場から約20メートルの場所に住む「外環被害住民連絡会・調布」の滝上広水代表(71)によると、工事関係者は「ボーリング調査の棒が地下16メートルの地点でストンと落ちた。カメラを入れたところ、空洞には水が充満していることが分かった」と説明したといいます。
滝上氏は「近隣では着工前に地質や地盤の強度を確認する調査が行われず、騒音と振動に耐えかねた住民の苦情も無視して工事が進められてきました。ネクスコ東日本の過失は明らかで、事業を認可した国と都の責任も問われます。工事を再開させることは許されない」と指摘しています。
同会は15日に声明を発表。事業の不十分な事前調査、ずさんな施工管理により、足元の地盤が崩れるかもしれない恐怖と不安の日々を強いられているとして「安心して暮らせる生活を住民に約束してください」と訴えています。(丹田智之)
(2021年1月16日付「しんぶん赤旗」より)