感染抑制・病床増へ支援を/医師・日本共産党衆院東京比例候補 谷川智行さんに聞く

医師・日本共産党衆院東京比例候補 谷川智行氏

医療崩壊が進むなかでいま、どのような対応が必要か。医師で、日本共産党衆院東京比例候補(東京4区重複)の谷川智行氏に聞きました。


目の前で進行している「医療崩壊」は、コロナ対策での政府の無為無策によるものです。背景には長年の自民党政権による医療費抑制策があり、その矛盾が噴き出しています。

医療費抑制策の中心は病院と病床の削減、医師数の抑制です。感染症病床は、この20年で5分の1以下に、感染症病床以外も25万床削減されました。医療ひっ迫のもとでも、政府は急性期病床を半減させる計画を進めています。

いま緊急に求められているのは、新規陽性者数を抜本的に減らす強力な対策と病床の確保です。

感染抑制のためには医療・高齢者施設などでの集団発生をくいとめるための社会的検査、感染拡大地域での無症状者の早期発見・保護・隔離するための検査戦略が必要です。

コロナ病床を増やす必要については、現場の医療関係者の中で、何とか協力したいという思いが高まっています。

ただ、多くの医療機関は減収による経営難や人員不足などの困難を抱えながらも、救急医療やお産、手術などの一般診療を必死に支えています。

また、一般の医療機関にはコロナ病室の空気が外に漏れない陰圧室が備わっていないところも多くあります。感染区域と非感染区域を明確に区分けするゾーニングに苦労する医療機関も少なくありません。

重要なのは、さまざまな事情から踏み出せない医療機関の悩みを具体的に把握し、必要な支援を強力に進めることです。

例えば、いつでも専門医から治療のアドバイスが得られる体制、感染管理認定看護師をはじめとする感染制御チームの派遣、地域内の医療機関の連携強化・役割分担の促進、病床変更に伴う減収補てん、スタッフに対する特別手当の支給などです。

急性期の治療後、引き続き入院が必要な患者を受け入れる病床を確保することも有効です。感染性がなくなった患者を一般病床で受け入れる後方支援病院を増やそうという動きは政府や自治体、医療機関からも示されています。これにより急性期病院の病床が空き、新たな患者の受け入れにつながります。

東京都では三つの都立・公社病院(広尾、豊島、荏原)がコロナ病床を大幅に増やすことになりました。これに伴い、近隣の民間病院ではこれらの病院の入院患者や手術予定の患者を受け入れようと準備を進めています。それぞれの医療機関が、その役割を果たし、荷を分かち合いながら奮闘しています。その全体が住民の命と健康を支えています。分断や脅迫ではなく、それぞれの医療機関に対する具体的な支援を強めることこそが必要です。

(2021年1月20日付「しんぶん赤旗」より)

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