東村山市議会の昨年12月定例会で、「一人会派」を条例上「会派」として認めない議会基本条例の改定が行われました。多様性やマイノリティーを尊重しようとする社会の流れとは、真逆の事態です。東村山市議会で何が起きているのか、日本共産党市議団の渡辺みのる団長に寄稿してもらいました。
日本共産党市議団 渡辺みのる団長
前市議の陳情で
事の発端は昨年6月定例会最終日に、落選した前市議から提出された「議会基本条例第4条第1項等の改正を求める陳情」です。「会派」とは複数を意味する言葉であり、2項で「政策を中心とした理念を『共有する』」とあることから、現状の「個人又は複数の議員で会派を結成する」のうち、「個人又は」を削除するというものでした。
同じ時期に、2年に1度(次回からは4年に1度)の議会基本条例の検証を行っていたこともあり、検証作業の中で取り上げようという意見があがりました。
改選前まで、議会基本条例は全会派が議論に参加して、全会派が賛同できる形で進めてきました。ところが陳情審査を口実に、しかも、一人会派を参加させていない議会運営委員会(以下、議運)と議会運営協議会(非公開・議事録なし。以下議運協)で議論が進められました。
私は、この陳情が最初に議論された議運で「議会基本条例の方向性を多数決で決めるべきではない。一度陳情を否決し、検証作業の中で議論するべき」と意見を言いましたが、取り入れられませんでした。
検証作業は運営が改善されないまま進み、陳情も自民・公明のみの賛成多数で採択され、その後の議運協で議論されましたが、陳情に賛同した議員を中心に「陳情が採択されたのだから議会の意思が示された」「一人会派を認めれば議会が細分化し、意見集約が困難になる」「『全会派合意』でやっていたら何も決められない」などという意見が多く出されました。
自民・公明が強行
意見が折り合わなかったため、委員会発議による条例改正案の提案にはなりませんでしたが、直後の12月定例会初日に自民・公明の議員による議員提出議案という形で、事前の調整も周知もなく突然提出されました。
このような強引な条例提案に対し、これまで通り一人会派を認めた上で、条例上の整合性を整理する内容の対案を提出しましたが、我々が提出した改定案は否決され、今年4月から一人では会派を結成できないこととなってしまいました。
加えて自民・公明の議員が提案した改定案に対する反対討論で、朝木直子議員(草の根市民クラブ)が、陳情が提出された背景を含めて発言したことに対し、削除を求める意見が出たため、発言内容の確認が行われることになりました。
議長の提案を受けて議運が開催され、自民・公明議員の賛成で秘密会での議論が行われました。発言の内容は、陳情を提出した前議員と活動を共にしている現職議員の関係を、公的な活動や事実に基づいて発言しており、削除はもちろん秘密会に値するものではありません。このような進め方はあまりにも横暴で、多数である自民・公明の意に沿わない意見は排除するという暴挙です。
開かれた議会に
議員は一人ひとりが市民から付託を受け議会で活動しています。東村山市の25人の議員は議会の中で平等に活動できなければなりません。会派の人数によってその扱いを変えることは、市民の意思をないがしろにする行為です。憲法の保障する「法の下の平等」にも反する行為だと思います。
今後、会派を組めない議員が質問や議会活動などで差別を受けることがないよう、そして議会が掲げる真に「市民に開かれた議会」にするために、他会派や無所属の議員、市民のみなさんと共同して引き続き頑張ります。