物言う委員不再任に批判の声
東京都が、中央卸売市場の運営を協議する取引業務運営協議会の2020年度委員選任で、長年委嘱してきた労組・消費者団体代表を含む4氏を再任しなかったことに批判の声があがっています。
(岡部裕三記者)
市場運営協議会は都知事の付属機関で、委員任期は2年。都は昨年10月に委員を28人から24人に減らし、前会長代理の藤島廣二・東京聖栄大学客員教授と、中澤誠・豊洲市場労組従組連絡協議会副議長(略称・市労連)、東京都生協連、都地域婦人団体連盟の4氏を不再任としました。
本紙は都に公文書開示を請求し、小池百合子知事のブリーフィング記録、歴代委員名簿などを入手しました。
説明はほぼなし
中央卸売市場長が知事に行った新委員選任に関する説明記録はわずか3枚。20年7月10日の知事説明は「意見なし」で5分で終了。知事に提出した新委員名簿は、業界団体を全員再任する一方、労働者・消費者委員を5人から2人に減らすなどとしただけで委嘱団体名は空白でした。
本紙は中央卸売市場に対し、
▽知事に新委員名を口頭報告していないのか
▽4氏の不再任で幅広い団体の意見を聞く姿勢が後退した。復元しないのか
ーと質問。
市場側は
▽委嘱委員は市場長が決定し、知事に名簿は報告していない
▽(次期委員は)22年に検討すると説明。本紙の「豊洲市場でコロナ感染者が増加している。労働者の意見を聞き、対策に反映しないのか」との質問に、市場は「ご意見として承る」としただけでした。
日本共産党からは、あぜ上三和子都議が市場運営協委員を務めています。20年11月3日の都議会委員会で、あぜ上氏は「長年にわたり代表を出していた団体に事前に話もせず委嘱しない、あまりにも乱暴だ」と追及し、4氏不再任は納得できないと批判しました。
都民参加を後退
市場運営協議会は革新都政時代の1972年に設置。都民参加の理念のもと幅広い学識経験者、生産者・業界・消費者・労働者団体、都議で構成。市場の開場日や実質週休2日制導入などを知事に答申してきました。
不再任とされた東京生協連、都地婦人連、市労連(当初は東京中央市場労組)は発足当初からのメンバー。
協議会で中澤委員は築地市場の豊洲移転や競り人の試験廃止など卸売市場の規制緩和に反対。藤島委員は市場の民営化を懸念、市場の活性化を考える会に市場業者を排除したことを批判しています。
物言う委員の再任拒否は、革新都政が導入した市場運営の住民参加を後退させるもので、歴代自民党型知事もしなかったことです。
排除方針撤回を
清水勉弁護士(東京市民オンブズマン幹事)の話
国や自治体が設置する審議会などは、いろいろな意見を出し合う方が政策を進めていく上で有益だ。卸売市場運営協議会は都知事の付属機関なのだから、知事が責任を持って委員を任命すべきだし、物を申す委員の排除方針は撤回すべきだ。今回、4委員を不再任としたことで、協議会の存在意義が薄くなったのではないか。
(「しんぶん赤旗」2021年2月24日付より)