コロナ禍の医療崩壊 女性の困難/生み出した政治の責任重大 参院予算委で田村智子議員が転換迫る

質問する田村智子議員=4 日、参院予算委(写真提供:しんぶん赤旗)

日本共産党の田村智子議員は4日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス危機で困難を極める医療体制と女性の貧困の実態を示し、根本には自公政治が生み出した構造的な問題があるとただしました。菅義偉首相はどちらについても構造的問題に踏み込みませんでした。


田村氏は、この冬、各地で医療崩壊が起きた背景に、医療機関への支援があまりに薄い問題があると指摘。政府が医療支援の切り札としてきた緊急包括支援交付金は使い勝手が悪く、「医療機関に届いたのは予算額の3分の1だけだ」と批判しました。

また、同交付金のうち各都道府県が使い切れなかった分は国に返金することになっていると告発。「政府は”医療支援に3兆円”というが、相当部分が見せ金に終わるのではないか。残金は減収補填(ほてん)に使えるようにするべきだ」と迫りました。同交付金はコロナ対応費用の補填のためとされ、入院・手術の先送り、外来閉鎖などによる減収補填に使えないとされている問題を批判。「赤字は人件費にはね返る。シンプルに地域医療全体に届くようにせよ」と厳しく求めました。

田村氏は「長期にわたり医療機関の経営体力を弱めてきた政治の責任も問われる」と指摘。保健所体制を切り崩し、高度急性期・急性期病床の削減を進めてきた自公政権を批判し、「医療政策の抜本転換」を求めました。

女性の貧困をめぐっては、初の緊急事態宣言が発令された昨年4月に女性の雇用者数が男性の2倍以上減ったと指摘。女性の割合が高い非正規雇用の減少が特に激しく、「非正規で働く女性たちが雇用の調整弁とされた。女性の自殺者急増とも切り離せない」と述べました。

「バスガイドや事務職など、女性が多く担う業務が正規雇用から非正規雇用に置きかえられてきた」と強調。正規雇用でも女性労働者の多い看護師や介護士、保育士などの「ケア労働」は、補助的業務・女性の家庭労働の延長だとして評価されず、低賃金に置かれていると告発しました。

田村氏は、ケア労働者の抜本的な処遇改善、矛盾が集中するひとり親世帯への給付金を求め、「構造的な問題を本気で変える政治を」と迫りました。

谷脇審議官「NTT接待受けた」

田村氏「虚偽答弁なら事態深刻」

田村氏は、菅首相の長男・正剛氏が勤務する「東北新社」から接待を受けた谷脇康彦総務審議官と山田真貴子前内閣広報官が、NTT幹部からも高額接待を受けていたと新たに週刊誌が報じたことを追及。谷脇氏は、NTT側から3回の接待を受けたと認めました。

田村氏は、谷脇氏が東北新社以外から接待は受けていないと答弁してきたことを指摘し、「虚偽答弁だったのではないか」とただしました。

田村氏は、谷脇氏が菅政権の目玉政策である携帯料金引き下げの推進役を担ってきたと指摘。「総務省の調査では限界がある。総理として責任持って究明していく姿勢を示すべきだ」と迫りました。菅首相は「総務省において調査している」と背を向け、田村氏は「事業者と官僚の異常な接待をめぐる虚偽答弁がまかり通れば深刻な事態になる」と批判しました。

(「しんぶん赤旗」2021年3月5日付より)


論戦ハイライトはこちらから

タイトルとURLをコピーしました