日本共産党東京都議団は女性への支援、DV(ドメスティックバイオレンス)対策を打ち出すなどジェンダー平等の実現に向けて奮闘してきました。大山とも子都議(新宿区)、原のり子都議(北多摩4区)、米倉春奈都議(豊島区)の3人がさっくばらんに語りました。
(進行・構成 目黒健太)
―都議団はこの間、女性の置かれた実態を議会に届けて改善を求めてきました。
大山 これまでも避難所での女性に対する特別の配慮などについて提案して、防災指針の改定に生かされています。
昨年からの新型コロナ危機では、女性など弱い立場の人など、さらにしわ寄せがいっています。虐待などの被害を受けたり、行き場がなかったりする若年女性への支援を求め、議会でただすと都は「支援は重要」と答弁するなど、少しずつ前進しています。
原 女性へのDV被害の相談が増えています。「テレワークで家にいる夫から言葉の暴力を受ける。同じ空間にいるから電話もできず、隙を見つけてラインで助けを求めた」という実態も寄せられました。
米倉 2月25日の本会議質問で痴漢被害について取り上げました。痴漢被害で負った心身への深刻な影響について、都議会で全面的に取り上げたのは初めてです。
「痴漢は被害がものすごく多いのに、実態が知られず、扱いが軽いのはおかしい」と都委員会ジェンダー平等委員会でインターネットアンケートを行ってきました。ツイッターで回答を呼びかけると、1回のつぶやきに何百人もの回答が返ってくるんです。どのアンケートにも被害がびっしりと書かれ、1394人(2020年11月11日までの回答)の方が被害を受けたことがあると回答を寄せてくれました。
大山 米倉さんの質問中に議会を見回すと、いつもヤジを飛ばす議員たちがじっと斜め下を向いたまま。議場が水を打ったように静かたった。
米倉 質問の最後は「知事をはじめ議場の皆さん、都民の皆さん、この社会は、長く、痴漢の被害実態に正面から向き合わずにきました。東京を誰にとっても安全な都市にするため、痴漢ゼロの東京を実現しようではありませんか」と呼びかけました。
大山・原 あの呼びかけは良かったよね。
米倉 都庁内で痴漢被害についてのアンケート結果を記者会見で発表したとき、都庁の男性職員が来ていました。記者会見後、痴漢被害への認識がすごく変わったようで。「女性ってこんなに大変な思いにあっていたのか。本当に知らなかった」と衝撃を受けていました。
原 ジェンダー平等の実現は、一人ひとりの生き方の根本に関わります。自分の中にある「当たり前」を見直すことが大切だと思います。また、議員が市民の声を基に勉強し、一致点を大事にして進めることがポイントだと思います。
改定綱領がいかされて
―日本共産党は第28回党大会で綱領を改定し、「ジェンダー平等社会をつくる」「性的指向と性自認を理由とする差別をなくす」ことを明記しました。
大山 改定綱領でジェンダー平等の実現を位置付けたことが、政策づくりにも生かされています。痴漢被害の実態調査は、設問自体が被害を受けた方々に寄り添ったもので、今まで声にならなかった声を明らかにできたことが、とても重要でした。
都議団は18人中13人(7割)が女性で、女性議員第1党。都の各種審議会における女性委員の割合の引き上げを求めるなど、議会の空気を変えてきました。
ところが、日本のジェンダーギャップ指数は私が都議になってからどんどん下がって153力国中121位。「女性問題」じゃないんだよね、男性も意識的にやらないと進まない。党自身、もっとジェンダー平等の認識を発展させていかないといけない。
米倉 都委員会はジェンダー平等委員会を設置し、ジェンダー関連の学習をくり返し行ってきました。ある男性党員からは過去の発言について、「あの発言はまずかった。撤回します」と謝罪されました。私も含めてですが、みんな学ぶ中で、自分の言動をふり返っているんだなと思いました。
原 綱領に立ち戻れるのは大事だよね。ジェンダー平等の実現が本当に大事だと思えるように、空気のように当たり前のことにしたい。
「一緒に変えよう」の党
―女性があらゆる議論、意思決定の場にいることがジェンダー平等社会を実現するために不可欠です。議員になって感じるジェンダー不平等はありますか。
米倉 13年に初当選して驚いたのは、「女、子どもは黙っていろ」という雰囲気がすごくあること。ある部署の職員たちと質問のやりとりをしたとき、5人の男性職員が私一人を囲んで、「先生、こんな質問したら恥かきますよ」と恫喝(どうかつ)してきた。質問をやめさせる意図があったんだと思います。
原 分かります。「黙らせる」空気がありますよね。私は東久留米市議になって初めての委員会で、子どもの保育園のお迎えの時間が迫ってきて、挙手して「委員長、迎えの時間が迫ってきたので保育園に電話したいです」と言って、休憩を取ったことがあります。いろいろな立場の人がいていいんじゃないかなと思いました。
共産党は女性が男社会を渡り鳥のようにうまく生き残るんじゃなくて、「自分が苦労していることは、みんなも苦労していることのはず。一緒に変えよう」と努力する集団だと思う。
大山 14年、自民党都議から質問中の女性都議に対して「早く結婚しろよ」などのセクハラヤジがあり、議場からはけらけらと笑い声が起こりました。結婚、出産に悩む女性の生き方を踏みにじるものです。
「これは許せない」と思って自民、公明をはじめ全会派に呼びかけて、女性議員15人で再発防止を求める申し入れを議長宛てに提出しました。その後、ヤジを飛ばした自民党議員は謝罪しました。他党と連携し、都民の要求を議会に届ける活動ができるのも党議員団ならでは。
躍進は転換の力になる
―今年は都議選、総選挙があり、政治を転換する歴史的チャンスです。
大山 日本共産党の躍進は行政のあり方、政治を変える力になります。
例えば性暴力被害について、警察に相談すると「あなたにも問題があったのでは?」と二次被害を受け、被害者が被害届も出せない問題があります。対応の改善を議会で求めると、警視庁の担当者は被害者が望む性別の警察官が対応し、全ての警察官が被害者の心情に留意して、「必要な研修を徹底する」と答弁しました。大事な変化をつくりました。
原 同性パートナーは家族として認められず、排除されたり、差別されたりしています。全国74自治体、総人口の3分の1以上に広がった同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を実施させたい。
米倉 議会で実態を紹介し、共有することが政治を変える力になると思います。当事者の気持ちや置かれている状況を共有していくことが大事。いろんなテーマでもその姿勢でとりくみたい。
(「しんぶん赤旗」2021年3月11日付より)