米軍ヘリが東京の都心上空でビルをかすめるように低空飛行を繰り返すなど、全国各地で無法な低空飛行の実態が次々と明らかになっています。4日には衆院議員会館で、日本平和委員会が防衛、外務両省に対し、危険な訓練の中止と、米軍機を航空法の最低高度基準の適用除外とする航空特例法の廃止などを求めました。
要請では、毎日新聞が撮影し2月に公開した、オフィス街の上空を高層ビルをかすめるように低空飛行する米軍ヘリの映像や、要請前日に高知県の保育園で撮影された、子どもたちの頭上を飛ぶ米軍機の動画などを実際に上映。インターネットのオンラインで結んだ全国各地の住民が、低空飛行による被害の実態を訴えました。
日本の航空法では、周囲600㍍で最も高い障害物の上空300㍍を「最低安全高度」と定めています。さらに、1999年に結ばれた日米合同委員会の合意では、「在日米軍は日本の航空法に規定される最低高度基準を用いる」と定めています。毎日新聞の動画には、新宿駅周辺で、高度300㍍以下での飛行を繰り返す姿などが写っており、日米合意に反することが明らかです。
「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」の板倉博共同代表は、「私たちの調査でも、三角測量を使って150㍍ほどの高度を飛んでいると明らかにしてきたが、今回の動画で、異常な低空飛行の実態がはっきりとした。ビルの合間を飛ぶなど、非常に危険で、すぐに止めさせるべきだ」と求めました。
板倉さんは、「日本政府の弱腰の姿勢も、米軍が好き勝手やっている理由だ」と批判しました。
麻布のヘリ基地では、5分以上、駐機するときにはエンジンを切るよう、看板で示しています。しかし、板倉さんによると40~50分間、駐機する際にも、大半のヘリがエンジンを切ることなく、爆音を周囲に響かせています。「私たちは、国などへの要請の際に、毎回のように、『せめて米軍が定めた、エンジンを切るというルールくらいは、守らせるべきだ』と求めているのに、まったく改善されない。日本政府がもっと強く、米軍にルールの徹底を求めるべきだ」と話します。
宮本徹氏も追及
2日の衆院予算委員会では、日本共産党の宮本徹議員が、都心での米軍ヘリの低空飛行の問題を取り上げました。宮本氏は、毎日新聞の動画も紹介しながら「一歩間違えれば、大惨事が起きる。政府として米軍に事実を確認したのか」とただしました。
岸信夫防衛相は「米側に確認中なので、コメントは差し控えたい」と答弁。茂木敏充外相は「動画だけで、確定的に何メートルを飛んでいるか、判断は難しい」としました。
宮本氏は、「動画は200㍍の高さから撮影し、それより低く飛んでいる。明確な日米合同委員会(合意)違反だ」として、「日本の首相として、米国にきっぱり抗議を」と要求しました。
菅義偉首相は、「ルールを守った飛行するのが当然」と述べたものの、「事実を確認してから」と抗議については明言しませんでした。