都議会閉会 新型コロナ「見るべき対策ない」

新年度予算案を可決 共産党は反対
都議会定例会は3月26日の本会議で、2021年度予算案(一般会計7兆4250億円)を都民ファーストの会、自民党、公明党などの賛成多数で可決し、閉会しました。日本共産党は一般会計予算などに反対しました。

病院独法化を計上
定例会は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えこみ、都民の命と暮らしを守ることが最大の焦点でした。採決に先立つ討論で共産党の星見てい子都議は、21年度予算案について「見るべきコロナ対策がない」と批判。その一方、コロナ患者を受け入れ奮闘する都立・公社病院を大後退させる地方独立行政法人化の準備予算39億円を計上したと批判し、独法化は中止し、都立・公社病院の拡充を求めました。
星見都議は、小池百合子知事に対し、感染拡大を抑え込めなかった原因と責任を問うたが、知事は自らの責任を認めなかったと指摘。感染拡大は「小池知事と菅政権の対策の行き詰まりを示すもの。これまでの延長線上では感染を抑え込めない」とし、戦略的検査の推進、医療機関への減収補填、事業者への十分な補償を求めました。
星見都議はまた、都が戦略的検査の方針を示したことは評価しつつも、中身が極めて不十分だとして「1日6万8000件の検査能力を生かして拡大し、変異株も迅速に検査数を引き上げるべきだ」と主張。営業時間短縮に協力ができるような補償のないまま、応じない事業者への罰則を科すようなことはやめるべきだとし、事業規模に応じた補償を求めました。
今夏の東京五輪開催については中止決断を求め、コロナ感染収束のために力を集中すべきだと強調。東京外環道工事や特定整備路線、CO2削減に逆行する巨大ビル開発、カジノ検討の中止を迫りました。
さらに定例会で焦点ともなったジェンダー平等について、都として当事者に寄り添うパートナーシップ制度の実現や、痴漢対策を都男女平等参画計画に位置付けるよう提起。「自己責任ではなく都民を支える温かい都政へ切り替えるために奮闘する」と表明しました。

協力金の改善を
本会議にはまた、リバウンド防止期間(4月1~21日)に営業時間短縮に協力した飲食店への協力金(84万円)支給の費用などを盛り込んだ補正予算案2件(2534億円)が提案され、全会一致で可決。日本共産党の里吉ゆみ都議が質疑し、斉藤まりこ都議が討論に立ちました。
里吉都議はコロナ禍の影響で飲食店経営者からあがる「もう限界」「協力金の額では足りない」といった切実な声を紹介。滋賀県の事例も示し、都独自の支援を国の支出金に上乗せして、事業規模に応じた補償を提案。

変異株全数検査を
また、補正予算には検査充実のための予算が含まれていないと指摘し、広島県のような誰でも受けられるモニタリング検査実施、医療機関での職員・患者への定期的検査、変異株の検査数を現状ではあまりに少ない10%程度から全数検査に引き上げるよう提起しました。
里吉都議はまた、神戸市では地方衛生研究所を中心に陽性者の約7割の変異株を検査していると紹介。一方、都では93%が民間頼みで、都健康安全研究センター1カ所で、1400万人の人口を所管しているという検査能力の低さが検査遅れの原因にあると指摘。同センターの増設を求めました。
小池百合子知事は「新規陽性者に対する(変異株の)スクリーニング検査の割合を4月上旬をめどに25%に引き上げ、その後40%を目指す」と答え、全数検査には言及しませんでした。

実効性ある対策を
斉藤都議は討論で、補正予算について、「必要最低限のものとして賛成するが、問題は山積している」と強調。「破綻が明白なこれまでの対策から、実効性のある対策への転換が求められている」として、「科学的根拠に基づく実効性のある対策を引き続き提案し、新型コロナウイルスから都民の命と暮らし・営業を守り抜くために全力を尽くす」と表明しました。

共産党都議団 予算2・3%組み替えで実現可能
コロナ対策・暮らし支援拡充

日本共産党都議団が都議会定例会で行った、東京都2021年度予算案に対する組み替え提案は、一般会計(7兆4250億円)のわずか2・3%を組み替えるだけで、PCR検査の抜本的拡充をはじめ新型コロナウイルス対策の強化、都民の暮らし・福祉・教育を拡充することができることを示しました。組み替え案の提出は、1996年度以来毎年行っています。
削減するのは、陥没事故を起こした東京外郭環状道路や住民合意もなく進める特定整備路線など、不要不急の大型開発の他、都立・公社病院の地方独立行政法人化の経費、カジノ誘致検討など71項目1750億円です。
一方、削減した予算を活用し、コロナ感染拡大を抑えこむために必要な、医療機関職員や高齢者・障害者施設の定期的検査、感染者が多発する地域・集団への集中的な検査の他、医療機関や中小企業、労働者、学生への支援など、新型コロナ緊急対策の費用を計上しました。
この他、一人親家庭の生活支援や子どもの国民健康保険料(税)均等割の減免、小学3年生・中学2年生の35人学級の導入、特別養護老人ホーム、認可・公立保育園の整備などの子育て支援、パートナーシップ制度導入の検討、木造住宅の耐震・難燃化助成などの防災対策、都営住宅の新規建設の再開、多摩・島しょ格差解消など、計77項目1995億円を増額しました。

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