75歳以上に医療費窓口2割負担を導入する「高齢者医療費2倍化法案」をめぐって、菅義偉首相は23日の衆院厚生労働委員会で、2割負担対象者を決める際に、厚労省から受診控えの「影響額は聞いていなかった」と認めました。受診控えによる健康悪化に目を背けた「負担増ありき」の姿勢が鮮明になりました。日本共産党の宮本徹議員への答弁です。
菅首相はこの間、“受診控えは直ちに健康に影響しない”と答えてきましたが、厚労省は負担増での受診控えで給付費を年1050億円も削減できる推計結果を示しています。
宮本氏は、2割負担対象の「年収200万円以上」などの基準を決める際、この推計結果を「聞いていなかった」と答えた首相を、「あまりに無責任だ」と批判しました。
2001年に窓口1割負担が導入された際にも、糖尿病や高血圧症の受診率が下がったという研究結果を示し、「早期発見・早期治療が困難になる。健康への悪影響は明らかだ」と強調しました。
さらに、年収200万円は「負担能力がある」との政府の言い分について、税や保険料を支払えば年175万円となり、「余裕があるとは言えない」と反論。「現役世代の負担軽減」も、22歳が74歳まで支払う保険料の軽減は、平均で計1万8千円ほどで、75~80歳までの窓口負担増は平均16万円だと示し、「現役世代も負担増になるのは明白だ」と強調しました。
同法案はこの日の採決が狙われていましたが、自民党の菅原一秀議員が選挙区内での新たな現金配布疑惑が発覚して与党筆頭理事を辞任したため、見送られました。
(2021年4月24日付「しんぶん赤旗」より)