来年4月の改正民法の施行で成年として扱われる18、19歳について、20歳以上と同様の刑事手続きにかける対象事件を拡大する少年法改定案が、23日の参院本会議で審議入りしました。日本共産党の山添拓議員は、同法が目的とする「少年の健全な育成」を困難にすると批判しました。
山添氏は、「少年事件は1980年代以降、減少し続けている。凶悪事件は1%程度で、凶悪化しているわけでもない」と述べ、現行法は有効に機能していると指摘。改定の必然性がないのに、「成年年齢引き下げと同時施行にこだわる官邸・与党の意向の下に法改正ありきで進められた」と追及しました。
上川陽子法相は「指摘のような意向や方針の下で進めたものではない」と強弁しました。
山添氏は、成人と同様の刑事手続き(検察への送致=逆送)にかける事件の拡大について、「強盗でも、万引きで捕まりそうになって店員を突き飛ばした場合など、行為の態様や結果はまちまちだ」と強調。「罪名のみで判断し、逆送事件を増やすのは、家裁調査官による丁寧な調査や教育的処遇を困難にする」と批判しました。
素行不良などで将来犯罪を起こす可能性があるとして家裁に送致する「虞犯(ぐはん)」からの除外も問題視。保護処分を受ける少年には、虐待など厳しい環境で育ち、少年院が「育ち直し」の場となる者も多いとして、「立ち直りの機会を奪う。求められているのは厳罰化ではなく支援強化だ」と主張しました。
(2021年4月24日付「しんぶん赤旗」より)