参院本会議
日本共産党の山添拓議員が23日の参院本会議で行った少年法改定案に対する質問(要旨)は次の通りです。
法案は、選挙権年齢の18歳以上への引き下げなどを理由に、18歳、19歳にも成人同様の刑事罰を科すべきだとの議論が契機です。しかし、法律の年齢区分は趣旨や目的により決められるべきです。
内閣府の世論調査では、少年非行は「増加している」との回答が8割近くでした。しかし、ピークだった1980年代以降、事件数・人口比で減少し、戦後最少を更新しています。殺人、強盗など凶悪事件は1%程度で、凶悪化もしていません。現行法と保護処分は、有効に機能しているのではありませんか。
法制審議会の昨年10月の答申で、適用年齢引き下げは「今後の立法プロセスでの検討に委ねる」としました。同時に答申は、18歳、19歳は特別の規定を設けるとしましたが、昨年7月の与党PT合意の内容を反映したものです。成年年齢引き下げの改正民法と同時施行にこだわる官邸・与党の意向の下、「改正ありき」で進められたのではありませんか。
未成年者の事件は、すべて家庭裁判所に送致され、調査官が調査し、教育的視点から少年の処遇を決めます。これは少年の成長発達権を保障し、立ち直りや「育ち直し」を図るためではないですか。
法案は、18歳、19歳について家裁から検察官に事件を送り返す「逆送」の対象事件を大幅に拡大するものであり、「少年の健全な育成」に反するのではありませんか。
現行法は、少年事件について実名や住所、顔写真など、本人と推知される報道を禁止しています。犯罪被害者の支援団体の片山徒有(ただあり)さんは「実名報道にさらされ、疎外される人をつくり出してはいけない」と述べています。推知報道の検討が求められているのではありませんか。
将来罪を犯すおそれのある少年は、「虞犯(ぐはん)」といい保護処分の対象です。法案は、18歳、19歳を虞犯の対象から外しています。虞犯が減少し保護の必要性がなくなった事実はありますか。群馬県の女子少年院には、虐待やネグレクトなど厳しい成育環境で育った少年が多く、「少年院で初めて1日3食の規則正しい生活を経験した」「人に話を聞いてもらえた」など、「育ち直し」の機会を得る少年もいます。保護処分の対象外となれば、性風俗業への関わりなどを防ぐセーフティーネットが失われませんか。
コロナ禍で、若い世代は深刻な困難に直面しています。求められるのは、少年法の厳罰化ではなく若者に手をさしのべ、少年事件に携わる人や現場への支援を強めることです。
(2021年4月24日付「しんぶん赤旗」より)