外環道 工事続行に抗議、情報開示を 弁護団 国、ネクスコに要請書

東京外かく環状道路(東京外環道)の工事で地表陥没後、巨大地下空洞が3カ所相次いで発見された問題で住民から委任を受けた弁護団が15日、記者会見を行いました。事業者に出した要請書の内容を公表するとともに、引き続き工事を進めようとしていることを厳しく批判しました。

弁護団は20人弱の住民から個々に受任した弁護士3人で構成され、郷原信郎弁護士が団長として住民とともに会見に同席しました。郷原弁護団長は9日付で東京外環道の施工者である国土交通省、NEXCO(高速道路会社)東日本、同中日本に対し要請書を提出。回答を20日までに求めるとともに、東京外環トンネル施工等検討委員会有識者会議(有識者会議)の小泉淳委員長や事業者の責任ある立場の者との面会を要請したことを公表しました。
要請書では、「今回の問題を『法令順守』だけではなく、『法令の背後にある社会の要請も含めて、様々な要請にしっかりと応えていく』という意味でのコンプライアンスの観点でとらえるべき」と強調。「社会的不祥事」を発生させたとの前提での対応を求めています。
会見で郷原弁護団長は事故後の対応についての疑問と、住民の不安に対する説明不足の他、事前の調査に問題があったと述べました。大深度地下法(ことば)が〝地上に影響を与えない〟という大前提のもと工事が行われているために、〝事前調査に問題はなく特殊な地盤が原因〟として、「事故の原因となったシールドマシンの過剰な土砂の取り込みを問題ではなく〝課題〟として工事を推進しようとしている」と告発。

また事業者は住民による振動などの訴えを矮小化してとらえてきたと指摘し、補償などの対応がすべて個別で実施されていることを批判。被害や影響が広範囲に及ぶことから情報開示が必要であり、共通の要望も多いことから補償に関する基準が必要との認識を示しました。共通の要望については住民の総意に基づく要請の必要にもふれています。
事故の検証を行い、報告書をまとめた有識者会議についても問題を指摘。委員10人の内、委員長を含む8人が事故を起こしたトンネルの技術的検討を行ってきた「東京外環トンネル施工等検討委員会」メンバーの横滑りだとして、法的にみるとNEXCO東日本の一機関であり、〝中立的〟な立場で検討を行う委員会とは到底いえず、利害関係があるならば開示すべきだと批判しました。
さらに小泉委員長の記者会見での「工事のリスクはゼロにならない。リスクを背負わなければならない」との発言に対し「NEXCO東日本と一体であり、検討の視点が違う」と断じました。

問われる大深度法
郷原弁護団長は「基準を決めない補償は不均衡や不公平があっても全員納得させれば良いというやり方。このようなやり方は大深度の工事の信頼性を失わせる」と語りました。
さらに「このような大深度地下工事は法律上、住民の同意なく何でもできるという恐ろしさをまざまざと見せつけた。事故は大きな注目を集めている」として「今後、国の監督官庁やしかるべきところで大深度法の在り方や事故の避難計画などの議論が進むであろう」との見解を示しました。

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