日本共産党の清水忠史議員、山添拓議員は10日、衆参各予算委員会で、感染拡大が続く新型コロナウイルスの対策強化に向けて政府の姿勢をただしました。清水氏は、コロナ禍で医療崩壊の危機に直面する大阪府の事態を示し、政府が国民の命と健康を守るために手だてを取りきるよう要求。山添氏は、感染拡大の中で、東京五輪・パラリンピックを強行する矛盾をただし、五輪中止の決断を迫りました。
コロナ対策に力集中を
山添氏は参院予算委員会で、「東京五輪・パラリンピックを中止し、コロナ対策に集中を」と求めました。
山添氏は、高橋洋一内閣官房参与が各国の新規感染者のグラフを上げ「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートしたことを批判し、同じ認識かと追及。菅義偉首相は「個人の主張について答弁を控える」としか答えず、山添氏は「こうした認識の方が政策決定に関与しているのが大問題だ」と批判しました。
山添氏は、組織委員会が看護師約500人の派遣を要請したことについて、愛知県医労連が「#看護師の五輪派遣は困ります」と呼びかけたツイートが42万超に上ったと指摘。ある医療機関では、紹介会社に年1千万円支払って看護師派遣を要請しても、コロナで逼迫(ひっぱく)し紹介されないなど深刻な実態を示しました。
山添 この声に正面から向き合うべきだ。
田村憲久厚労相 推計70万人以上いる潜在看護師の掘り起こしもお願いしている。
山添 現場の悲痛な叫びに向き合っていない。介護や育児などの事情で休んでおり、簡単な話ではない。
山添氏は、ホストタウンに登録している全国525自治体では事前合宿や地域交流が予定されており、検査体制の確保や陽性者への対応が負担となっていると強調。ホストタウンを辞退した自治体は約20に上り、「コロナ対応、ワクチン対応に懸命な自治体にさらなる負担をもたらす」と厳しく批判しました。
山添氏は、変異株が猛威を振るうインドではカヌーの代表チームが予選出場を断念するなど、各国の感染状況やワクチン接種に格差があり、辞退が広がると指摘。「フェアでない五輪は、いかなる差別も伴うことのない友情・連帯・フェアプレーを掲げる五輪憲章に反する」と主張しました。
山添氏は、日弁連元会長の宇都宮健児さんが呼びかけた五輪開催の中止を求めるネット署名への賛同が30万人を超え、「読売」の世論調査も6割近くが「中止」と回答したと示しました。
山添 国民の声を無視してつき進むのか。
首相 感染対策を講じ、安心して参加できるようにする。
山添氏は「中止の検討すらせず、主体的に判断しようとしないのはあまりに無責任だ」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2021年5月11日付より)
参院予算委員会での山添拓議員の質問動画はこちらから視聴できます(YouTube「東京五輪の開催中止、緊急事態宣言に伴う対策について」)