人通りの多い東京都杉並区役所前の交差点で8日夕方、日本共産党の原田あきら都議が訴えていた時のこと。「ビラもらえますか?」と若いカップルが駆け寄ってきました。
共産党に共感
原田氏は演説を中断し、カバンの中から取り出したビラを手渡し、なぜ関心を持ったのか尋ねました。
「僕は反自民というか、やっぱり共産党さんの方が共感できます」と男性(25)が切り出します。
「自分の周りで、裕福で『勝ち組』と呼ばれる人たちがみんな自民党を応援している。日本の若者は自分の生活が苦しくても、政治のせいにはしない。『自己責任』が浸透してしまっている中で、共産党は若者の困窮は政治に責任があると言ってくれている」
女性(21)はフランス留学から一時帰国中だとし、「フランスでも多くの人々が貧困で苦しんでいる。でもみんなで声を上げ政府を監視して、権利を保障させている。海外を見ていると日本の政治を考えざるを得なくなった」と話しました。
男性は自民党政治について「GoTo トラベル」などのコロナ対策の裏に企業との癒着があることや、森友・加計問題など相次ぐ不祥事にまともに対応してこなかったことを上げ、「日本の政治は本当に不誠実」だと何度も繰り返し、憤ります。
コロナ禍で政府の検査拡充のための予算が少ないと話す男性に、原田氏は小池百合子都知事も夜の街を標的にして、検査体制の強化などには背を向けてきたとし、「誰のために税金を使うのかが問われている」と話しました。
社会変えたい
男性は「自民党の暴走を止めてください。そしてオリンピックをやめさせてください」と言います。女性も「共産党が一番真面目。もっとふれる機会が欲しい」と党への期待を寄せました。
都政に求めることを聞くと、男性はビラに書かれた「ジェンダー平等社会の実現」を指しました。フランスでは多くの同性婚のカップルが養子を受け入れ、居場所のなかった子どもたちが幸せに暮らしていると話し、「国の成長のために核家族が必要という主張は間違っていると思う。パートナーシップ制度や夫婦別姓を実現してほしい」と語りました。
気づけば辺りはすっかり暗くなり、話し始めてから1時間半もたっていました。
原田氏は、近日開催予定の街角トークを案内。2人は「参加します。頑張ってください」と激励しました。
都議選取材を始めて1カ月。どこで話を聞いても共通して話されるのは、今までになかった若者からの反応や期待の声です。今回の2人の話も驚くほどに共産党の主張や展望とかみ合っていました。
若い世代は政治に無関心といわれます。でもそんな若者たちも、社会が押し付ける「自己責任」に苦しみ、社会を見つめなおし、変化を起こす道を模索し始めています。”このままではいけない。社会を変えたい”ー。同世代2人のエネルギーに心を動かされました。(石黒みずほ)
(「しんぶん赤旗」2021年5月14日付より)