五輪事前受け入れの自治体 感染対策四苦八苦

医療機関のめど 直前か

開幕まで2ヵ月を切った東京五輪。各国チームの事前合宿中止が相次ぐなか、受け入れ予定で準備中の自治体も新型コロナウイルス感染対策などに四苦八苦しています。(西口友紀恵)


東京都では、事前合宿や施設提供などを予定している自治体は現在19区市です。台湾とベトナムからの合宿は中止されました。

検査体制示さず

大田区では、ブラジルからバレーボールなど3種目の選手、関係者の事前合宿を受け入れる予定です。「100人規模で、7月上旬に来日、合宿は中旬からになりそうです」と同区のオリ・パラ担当者。頭を悩ませているのは感染対策です。

昨年11月に国は感染対策の指針を示し、自治体に一定の受け入れ責任が生じると明記。変異ウイルスの流行を受けて4月末に指針を改訂し、選手や選手と接触する可能性がある自治体側の関係者を原則毎日検査する、などとしました。

選手と関係者は青少年交流センターとホテルに分かれて宿泊予定。区が検査キットを用意し、検体を集めて検査会社にもっていきます。選手などに陽性疑い者が出た場合、「区内の医療機関を受診し、入院が必要な場合は保健所から指示された医療機関にいきますが、受け入れ医療機関のめどがつくのは合宿直前になるかもしれない」といいます。

「医療機関を確保するのが区なのか都なのかはっきりしないまま、都から『厳しい』といってきたのが今月中旬」と担当者。「区でやるしかないと医師会を通じて打診していますが、医療現場はコロナワクチン接種にも追われていて、なかなか厳しいという感触です」と語ります。

世田谷区は、アメリカチームに区内の大蔵運動場を合宿地として提供する予定です。

オリ・パラ担当者は「人数は2ケタ以上と思いますが、まだリストをもらっていません」と話します。

宿泊や移動車両の確保はアメリカ側が行います。

33競技すべてが利用できるという大蔵運動場。「『ハイパフォーマンスセンターに位置付ける予定』と組織委員会から囗頭でいわれましたが、正式な文書はまだない」と担当者。「検査にしてもどんな検査を誰がどこで、どういう人を対象にやるのかといったスキーム(枠組み)や、自治体として何をすべきかが示されていない。できるだけ早く示してほしい」

運用は決まらず

中央区は、区立の小学校をブラジル、オーストラリアにそれぞれ選手村が開いている期間提供します。「両国ともに来日の日程、チームの人数など分からず連絡待ちの状態です。施設の運用の仕方などがまったく決まっていません。とまどっています」と担当者。

「地元は交流を楽しみにしていましたが、それも難しい状況です。非接触型の交流もできるのかどうか…」と悩みが尽きません。

(2021年5月27日付「しんぶん赤旗」より)

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