広がる補聴器助成 練馬区で7月スタート/難聴者支援 認知症対策として

日本共産党都議団のとりくみを背景に、東京都23区を中心に補聴器助成制度が広がっています。認知症対策として7月にスタートする練馬区もその一つです。(徳永慎二)


都議団のとりくみ背景に

補聴器助成の創設をと呼びかける、とや都議=昨年11月、東京都・練馬駅前(写真提供:しんぶん赤旗)

補聴器助成制度の実現と制度の概要を知らせる「とや英津子のニュースレター」(*画像をいクリックするとニュースレター全体が見られます:とや英津子ホームページより)

東京都23区では、補聴器助成制度は15区で制定ずみ。2019年から21年にかけて6区が実施に踏み切りました。

党都議団は早くから難聴支援に力を入れてきました。12年には「高齢者等の『聞こえの支援』に関する東京都への提言」を発表。今年3月議会には、「高齢者の補聴器購入費助成条例案」を提案しました。補聴器助成を実施する区市町村に都が全額補助するなどの内容です。

19年5、6月には、難聴と補聴器に関するアンケートを実施。「聞き返しが多い」「すべてにつらい」などの切実な声が寄せられました。同年11月には、都議団として「高齢者のきこえの支援を考える」集いを開催。慶応大学医学部耳鼻咽喉科の小川郁(かおる)教授が「難聴・補聴器と認知症」と題して講演しました。

都議会では、19年2月、3月、6月に相次いで聞こえの問題をとりあげました。

党区議質問実り「助成実施」盛る

こうした動きと並行して練馬区では、19年6月18日の第2回定例会で、坂尻まさゆき区議が質問に立ちました。区内での難聴者は推定で9万人にのぼること、難聴と認知症の研究事例などを紹介しつつ、難聴者や補聴器の実態調査を求めました。

「補聴器は片耳平均15万円。『高額で購入できない』『片耳だけでがまんしている』と不便な生活に甘んじる高齢者が多数おられる」と補聴器購入への公的助成を求めました。区側は助成制度にはふれませんでした。

翌20年12月の第4回定例会。日本共産党の有馬豊区議は、区の高齢者基礎調査(同3月発表)を受けて、区介護保険運営協議会の答申(同10月)が「加齢性難聴の対策の実施について検討されたい」とのべていることを指摘。「第8期高齢者保健福祉・介護保険事業計画(21〜23年度)に難聴者への支援を加え、早期に補聴器購入補助を実施すべきだ」と求めました。

区側は「計画のなかに位置付ける」と明言。同計画に、「早期からの認知症予防活動の充実」のために「補聴器購入費用の助成を行う」ことを盛り込みました。

難聴者対策の根拠になった基礎調査は、広範な分野に及びました。聞こえの分野では①聞こえの状態②補聴器の使用状況③補聴器をもっていない理由ーについてです。その結果、補聴器をもっている人の3割が使用していないことがわかりました。「聞こえの状態がよくない」人は、介護認定を受けていない65歳以上の2割を占めました。

「実現する会」が陳情や署名集め

制度創設の陳情、署名、ニュース発行と奮闘したのが、昨年10月結成の「聞こえのバリアフリーを実現する会」(佐藤竜文代表)。練馬区の生活と健康を守る会や新日本婦人の会など8団体で構成しています。「練馬区選出の共産党の、とや英津子都議からのアドバイスもあって会を結成しました。ひきつづき制度の拡充にがんばりたい」と会事務局の鈴木整さん(72)。

補聴器を使用する、同じく事務局の矢沢重光さん(83)は「会のチラシや署名のよびかけに反応がすごかった。どこに相談していいかわからない難聴者が多い。こんなに早く実現するとは…。世論の力でしょう」。

練馬区の補聴器購入 助成制度の対象者

●65歳以上の区民税非課税世帯の人で、専門医が補聴器の必要性を認めた人
●助成限度額2万5000円
●身体障害者手帳をもつ高度難聴の人は対象外
● 7月1日から申請書受付開始

(2021年5月28日付「しんぶん赤旗」より)

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