都立広尾病院 医療後退 独法化やめて/都民の命と健康を守る要/島しょ救急・コロナ対応に活躍

地域医療を支え、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるなど、コロナ禍でも大きな役割を発揮している東京都立広尾病院(病床数426床)。小池都政が計画する独立行政法人化に対して「患者負担を増やさないでほしい」「治療を安心して受けられなくなる」など反対の声が上がっています。

「心臓の血の循環が悪くなり倒れた時に搬送され、手術を受けました。24時間体制で心臓救急患者の受け入れを行っている広尾病院の高度な医療技術があったからこそ今も元気に生活しています」。渋谷区に住む男性(79)は、5年前に広尾病院で心臓カテーテル手術を受けました。「都立病院でなければ治療費やベッド代も高かったと思います。独法化でもうけが優先され、治療を受けたくても受けられなくなると困ります」といいます。

24時間365日対応

広尾病院は、東京ER(総合救急診療科)・広尾として24時間365日、初期救急から3次救急までさまざまな症状に対応し、島しょ部医療、離島救急では、年間200件を超える航空機搬送の受け入れも行ってきました。

広尾病院を都立のままで存続・充実させる会の金井寛子事務局長は、「地元では、親子3代にわたって広尾病院で出産するなど、地域医療に根差した病院です。独法化されてしまえば、もうけ優先の医療で患者負担が増え、行政的医療を支える年400億円の繰入金が削減されてしまう恐れがあります」と話します。

さらに広尾病院は、都の基幹災害拠点病院となっています。

金井さんは、「災害の際には地域医療の中核を担い、基幹災害拠点病院として地域の病院と連携していかなければなりません。都立病院だからこそ、都と直結してコロナ禍や災害時の医療を担うことができると思います」といいます。

コロナ禍では、コロナ感染症対応専門病院となり、他の公社・都立病院とともに都内の感染症指定病床の7割を担っています。しかし、いまだにERは再開できず3病棟が閉鎖され、一般医療は逼迫(ひっぱく)した状態が続いています。

広尾病院で働く看護師は、「科を越えてコロナに対応し、慣れない病棟や専門外の患者さんに対応し、2時間以上、防護服を着たままの業務にもあたっています。都民のいのちと健康を守ろうと懸命に働いています。独法化されてしまえば、患者に寄り添った看護ができなくなるのではないかと不安です」と話します。

選挙審判下そう

広尾病院を都立のままで存続・充実させる会では、独法化を止めようと都、病院への要請活動、病院での門前宣伝や広尾駅、田町駅での宣伝、反対署名などに取り組んでいます。

金井さんは、「宣伝で対話をすると『コロナ禍で強引に都立病院でなくするのはおかしい』『負担が増えるのは困る』『高額な個室料金は払えない』などの声も上がります。独法化阻止に向けて都議選で独法化反対の審判を下そうと運動を進めていきます」と語ります。(菅原碧衣)

(2021年6月30日付「しんぶん赤旗」より)

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