緊急事態宣言下で五輪開催とんでもない
日本共産党の志位和夫委員長は8日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く東京都に4回目の緊急事態宣言の発令が決定されたことについて、「緊急事態宣言のもとで、五輪・パラリンピック開催などとんでもない」「宣言を発令しても、五輪開催にしがみつく態度をとり続ける限り、国民に対して矛盾したメッセージになる。それでは、国民の感染抑止の協力を得ることはできず、宣言を発令しても実効あるものにならない」と強調し、「五輪中止を決断することこそ、最良のコロナ対策になる」と強く主張しました。
志位氏は「国民に対して『自粛をせよ』『酒を出すな』『外出するな』『運動会、夏祭り、花火大会をやるな』と求めながら、人類最大のお祭りである五輪だけは開催となれば、矛盾したメッセージとなる。それでは国民の協力は得られない」と厳しく批判しました。
また、五輪について「無観客かどうかを議論しているが、無観客かどうかが焦点ではない」と指摘。無観客でも五輪・パラリンピックを開催すれば、海外から6万8000人の外国人が来日し、ウイルスが持ちこまれる危険が生まれるとともに、矛盾したメッセージを発することで国民の感染抑止の協力を得られなくなるとして、「無観客でも、二重の意味で問題は解決しない。五輪の中止を強く求めたい」と述べました。
三つの致命的欠陥を大本からただせ
そのうえで、志位氏は「菅政権のコロナ対応には、五輪の問題にくわえて、三つの致命的な欠陥、責任放棄がある。それを大本からただすことこそ必要だ」と主張しました。
第1は、ワクチンの安定供給の責任を果たしていないことです。志位氏は、ワクチンの供給不足で多くの自治体で新規予約が停止に追い込まれ、職域接種も中止に追い込まれる事態になっていることを指摘。「政府が供給責任を果たすとともに、正確な情報を正直に国民と自治体に伝えることを強く求める」と述べました。
第2は、PCR検査拡大の責任の放棄です。志位氏は、直近の1日あたりの検査数(1週間平均)は約5万4000人で、ピーク時(5月13日)の約9万4000人から半減していると指摘。1日約21万6000人とされる検査能力の4分の1しか使っておらず、1日1万件と約束したモニタリング検査も直近の数字で5900件だけだとして、「ワクチン接種によって集団免疫をつくるには一定の時間がかかる。基本的な感染対策、とくに大規模検査をセットでやってこそ、封じ込めができる。ところが政府は『ワクチン一本』(首相)と、検査拡大への責任を放棄している。ワクチン迅速接種と大規模検査をセットで推進することを強く求める」と語りました。
第3は、補償の責任の放棄です。志位氏は、政府が持続化給付金、家賃支援給付金を一回だけで打ち切ったことを批判。「4回目の宣言で事業者に厳しい自粛を強いながら、支援が一回きりというのはあまりに冷酷で無責任だ。持続化給付金の第2弾をただちに支給し、コロナが収束するまで持続的に支給することを強く求めたい。生活が困窮している人への給付金の支給も急務だ」と強調しました。
菅政権の責任は重大ー説明責任を果たせ
4回目の宣言の発令に伴う政府の責任について問われた志位氏は「まさに菅政権の対応が失敗し、現在の事態が人災だということを示している。その責任は極めて重い」と指摘。4回目の緊急事態宣言を出さざるを得なかった原因について、五輪に固執し、三つの点での責任放棄が根本にあるとするとともに「くわえて、6月21日に宣言を解除するとき、すでに新規感染者は増加傾向にあった。わが党は解除に強く反対したが、この判断も間違いだったことは明らかだ」と批判しました。
その上で、「菅首相に国会に出席して、質疑に応じるよう求めたい」と強調。野党が同日の議院運営委員会に菅首相の出席を求めたものの拒否されたことを批判し、「最低限の責任として国会に出席すべきだ。来週も閉会中審査があり、首相が現在の事態について説明責任を果たすべきだ」と述べました。
さらに、臨時国会の召集について問われた志位氏は「野党は通常国会の閉会時に会期の大幅延長を求めた。臨時国会の召集は当然だ。野党間でよく話し合って対応していきたい」と表明しました。
(「しんぶん赤旗」2021年7月9日付より)