バス乗務員 検査対象外/五輪 宿泊ガイド入手 感染対策「ご案内」だけ

リスク高く憤り

東京五輪の輸送関係者向け宿泊ガイドの新型コロナウイルス感染対策にかかわる「お願い」

東京五輪・パラリンピックの大会関係者を輸送するバス乗務員の宿泊施設で新型コロナウイルス感染対策が劣悪だった問題で、本紙はバス乗務員に配られた宿泊ガイドを入手しました。乗務員は選手らに接するにもかかわらず、PCRなど検査の対象にもなっていませんでした。(遠藤寿人)

入手したのは「東京2020大会 輸送関係者 宿泊ガイド」。13ページの小冊子です。そこには「新型コロナウイルス感染症対策に伴うご案内」が示されていますが…。

その内容は(1)期間中のマスク着用・常備薬・体温計の持参(2)(不具合続きで実用性が疑問視され、利用者が減っている)接触確認アプリ【COCOA】(ココア)のインストールのお願い(3)宿舎において検温(4)参集2週間前より、ご家族以外での複数名による会食は避けてください―としか記載されていません。

乗務員は選手に接触する可能性があります。選手や選手に密接に接するスタッフは、定期的に検査を受けますが、乗務員にはありません。

ワクチン接種はボランティアまで対象を広げたのに、乗務員には案内がない状況です。

この他に感染対策に関連する記述を探すと、イラスト入りでマスクの着用、手洗い消毒、3密を避ける、毎日検温など一般的な注意ばかり。「感染対策により、談話室の利用はお控えください」、敷布団、まくらへ感染予防シートの利用だけでした。

一方で▽室内にバス・トイレ・洗面所がない▽センター内のコンビニは午後6時で終了▽宿泊A棟にコインランドリーがない▽カフェテリアでの朝食・夕食は事前予約制▽カフェやレストランは午後5時に終了する―などが書かれています。

日常生活上の制約が厳しく、コンビニなど宿泊施設以外の施設に頼らざるをえません。その分、外部との接触が増え、リスクも高くなります。

ある乗務員は「東京に来る前に会社側から東京に到着したらセンターに入る前に、PCR検査をすると聞いていた。しかし、PCR検査は1度も実施されていない。バスの運行は24時間体制でおこなわれている。夜中の2時、3時に帰ってきて宿舎内の店があいていないんじゃ話にならない」と憤ります。

(「しんぶん赤旗」2021年7月18日付より)

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