東京の感染 急拡大 / 党東京都委員会新型コロナ対策本部長・谷川智行さん(医師)の談話

「しんぶん赤旗」2021年7月29日付に、日本共産党東京都委員会新型コロナ対策本部長で医師の谷川智行さん(衆院東京比例・東京4区重複予定候補)の談話が掲載されました。


危険 中等症患者の増加

谷川智行・党東京都委員会新型コロナ対策本部長

東京都や首都圏の新型コロナ病床は満床に近づいてきています。私が診察にあたるコロナ病棟でも28日時点で1床しか空きがありません。重症化した患者の転院も、順番待ちの状況です。

政府や東京都が言うように、ワクチン接種によって重症化しやすい高齢の感染者は減っています。重症化を抑える治療もすすんできています。しかし、そうしたプラスの条件を超えて感染者数が増えてしまっています。変異株の影響で若い世代でも肺炎を発症し入院が必要になる人(中等症患者)が増え、その中から重症化する人が出てきている状況です。

政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は28日の衆院内閣委員会で、東京都で高濃度の酸素を大量に投与するネーザルハイフローという治療が必要な人が増えていると答弁しました。都の基準では重症者に含まれませんが、人工呼吸器一歩手前の中等症の人が増えているという状況です。

中等症の患者が増え、看護必要度、スタッフの仕事量が増えている現状は医療の逼迫に大きな影響を与えています。また、コロナの療養が必要な人で、入院できている人の割合(入院率)が、東京都で20%程度に下がってきていることにも危機感を感じています。

中等症の人でも入院が難しくなっており、入院のハードルが上がってきています。入院調整中の人が増加しており、入院できず自宅で亡くなる人が相次いだ第4波の大阪のような事態が目前に迫っていることを示しています。

政府は緊急事態宣言で国民に自粛を要請しながら、東京五輪の開催を強行しました。一方でお祭り騒ぎをしながら、自粛だといってもそのメッセージは国民には届きません。

政府は現場が医療崩壊の瀬戸際にあるというリアルな実態に向き合い、命を最優先にした判断をすべきです。五輪の中止を決断することが一番のメッセージになります。政府をあげて、命を最優先にコロナの収束に全力を尽くすべきです。

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