臨時の医療施設が必要
東京都の新型コロナウイルス対応のモニタリング会議や厚生労働省が発表した資料から、爆発的な感染拡大の中で医療崩壊が深刻化し、コロナ全療養者に占める「自宅療養者数」と「療養先調整中の人数」の合計が急増している実態が明らかになっています。「自宅療養」を余儀なくされ、必要な医療を受けられない事態を避けるために、臨時の医療施設などの大規模な確保が求められます。
東京都のモニタリング会議(20日夜)で、大曲貴夫国立国際医療研究センター長は「医療供給体制は深刻な機能不全に陥っており」と医療崩壊を認め、コロナ感染の拡大を「制御不能な状況が続いている」と強調しました。
都医師会の猪口正孝副会長は、全療養者数が4万197人と前回会議(11日)の3万5689人から急増していることを報告。全療養者に対する入院患者の割合は9%、宿泊療養者の割合は4%と「極めて低い水準に低下」と指摘しました。
その一方で、「自宅療養者」の患者数が1万9396人から2万2226人に、「入院・療養等調整中」の患者数が1万861人から1万2349人と急増していると述べました。全療養者に占める割合は86%に上ります。圧倒的多数が「自宅療養」を余儀なくされている実態はますます深刻になっています。
猪口氏は、自宅療養中に容体が悪化した新型コロナ感染者の「救急搬送、入院受け入れが困難になっている」「緊急を要するけがや病気の患者の救急搬送の受け入れにも大きな支障が生じている」と述べています。
「自宅療養」を余儀なくされる事態は、東京都だけではありません。厚労省が20日に発表した「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査結果」(18日時点)では、「自宅療養者等数」と「入院先調整中の人数」の合計は12万7968人。埼玉、千葉、神奈川の各県では、全療養者に占める「自宅療養者等数」と「入院先調整中の人数」の割合は85%を超えています。6府県では70%を超えています。
(「しんぶん赤旗」2021年8月22日付より)