日本共産党の本村伸子衆院議員、山添拓参院議員、藤野保史前衆院議員は25日、名古屋出入国管理局(名古屋市港区)を視察し、3月に起きたウィシュマ・サンダマリさん死亡事件の最終報告書(8月発表)について聞き取りをしました。
出入国在留管理庁の調査で、外部医師が「(ウィシュマさんが)飢餓状態にあることを示唆」していると分析した2月15日の尿検査結果をめぐり、中間報告には記載せず最終報告書で初めて明らかにした経緯について、同庁は「名古屋局から当庁へ(資料)の送付漏れがあった。人為的なミスだ」と釈明。他に漏れた資料はないのかとの問いには「現時点で確認できていない」と述べました。
尿検査結果は入管の責任を問う上で重大な資料。最終報告書では検査結果を受けた医療的な対応がなかったことが分かっています。遺族は、結果が出た後も点滴や入院治療の要請を入管が黙殺したなどとして当時の名古屋入管幹部を殺人容疑で告訴。国会で入管法改定案の議論がされていた時期の中間報告では検査結果を隠していたのではないかとの指摘があります。
元交際相手からの暴力被害を訴えていたウィシュマさんをDV被害者とみなさず、入管庁の「措置要領」で定められた対応も取らず、最終報告書でも不問にしている点では、本村氏が「DV被害者支援の専門家が検証の不十分さを指摘し、専門家を交えた再検証を求めている。実現すべきだ」と強調しました。山添、藤野両氏は、看守勤務日誌や看守勤務概況など未公開の資料があるとして開示を求めました。
3氏は事前に収容施設内の視察を求めましたが、入管庁は“コロナ対策”を理由に立ち入りを拒否。代わりに、ウィシュマさんが収容されていた単独室の様子を写真で示して説明しました。
(「しんぶん赤旗」2021年11月26日付より)